産婦人科領域における内視鏡下手術

婦人科領域の内視鏡には腹腔鏡, 子宮鏡, 卵管鏡の3種類があり, それぞれ腹腔, 子宮腔, 卵管腔を観察する. その歴史は古く, 当初は観察が主体であったが, 今では多くの手術が保険収載され, 内視鏡手術は急速に普及してきた. 本稿ではその概略を述べる. 1. 保険収載された術式 表1に平成13年7月1日現在, 保険収載されている術式をまとめた. それぞれ開腹による術式のほぼ倍の手術点数となっている. II. 腹腔鏡 婦人科領域での腹腔鏡手術は長い歴史を有し, その始まりは1930年代に広まった卵管不妊手術に遡ることができる. 1. 適応 婦人科領域で腹腔鏡手術の対象となる臓器は卵巣, 卵管,...

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Published inJournal of Nippon Medical School Vol. 68; no. 6; pp. 524 - 529
Main Author 明楽, 重夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2001
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ISSN1345-4676
1347-3409
DOI10.1272/jnms.68.524

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Summary:婦人科領域の内視鏡には腹腔鏡, 子宮鏡, 卵管鏡の3種類があり, それぞれ腹腔, 子宮腔, 卵管腔を観察する. その歴史は古く, 当初は観察が主体であったが, 今では多くの手術が保険収載され, 内視鏡手術は急速に普及してきた. 本稿ではその概略を述べる. 1. 保険収載された術式 表1に平成13年7月1日現在, 保険収載されている術式をまとめた. それぞれ開腹による術式のほぼ倍の手術点数となっている. II. 腹腔鏡 婦人科領域での腹腔鏡手術は長い歴史を有し, その始まりは1930年代に広まった卵管不妊手術に遡ることができる. 1. 適応 婦人科領域で腹腔鏡手術の対象となる臓器は卵巣, 卵管, 子宮であり, その良性疾患はすべて腹腔鏡手術の対象となる. また, 近年では早期の子宮癌や卵巣癌も腹腔鏡手術の適応となりつつあり, 適応の拡大が急速に進んでいる1. 表2に適応となる疾患をまとめる. 2. 気腹法か吊り上げ法か 腹腔鏡には腹腔内に二酸化炭素を注入する気腹法か, 腹壁を機械的に吊り上げる腹壁吊り上げ法がある. その利点, 欠点を表3にまとめる. すなわち気腹法は視野に優れるが, 二酸化炭素使用によるアシドーシスの発生や, 高い腹腔内圧による循環, 呼吸系への悪影響がある.
ISSN:1345-4676
1347-3409
DOI:10.1272/jnms.68.524