係蹄壁にIgGとIgAの顆粒状沈着を認めたメサンギウム増殖性腎炎の1例

肉眼的血尿を伴ったネフローゼ症候群の3歳男児例を経験した。  腎生検光顕所見では,メサンギウム細胞のびまん性増殖,基質の増加とともに,係蹄壁の肥厚がみられた。スパイク,二重化も一部に認められた。蛍光抗体法ではIgG,IgA,C3,Fibrinogenが係蹄壁に強く沈着していた。電顕では上皮下に多量の高電子密度沈着物を認めた。沈着物はメサンギウム領域や内皮下にもみられ,mesangial interpositionも一部に認められた。  二次性膜性腎症あるいは膜性増殖性腎炎 (MPGN) typeIIIの可能性が考えられたが,IgAの係蹄壁の沈着が強い点が典型的ではなかった。私たちは,この組織を...

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Published in日本小児腎臓病学会雑誌 Vol. 20; no. 2; pp. 220 - 225
Main Authors 波多江, 健, 小野山, さがの, 宗, 秀典, 緒方, 怜奈, 原田, 達生, 土本, 晃裕, 平方, 秀樹, 片渕, 律子, 藤野, 歩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本小児腎臓病学会 2007
日本小児腎臓病学会
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Summary:肉眼的血尿を伴ったネフローゼ症候群の3歳男児例を経験した。  腎生検光顕所見では,メサンギウム細胞のびまん性増殖,基質の増加とともに,係蹄壁の肥厚がみられた。スパイク,二重化も一部に認められた。蛍光抗体法ではIgG,IgA,C3,Fibrinogenが係蹄壁に強く沈着していた。電顕では上皮下に多量の高電子密度沈着物を認めた。沈着物はメサンギウム領域や内皮下にもみられ,mesangial interpositionも一部に認められた。  二次性膜性腎症あるいは膜性増殖性腎炎 (MPGN) typeIIIの可能性が考えられたが,IgAの係蹄壁の沈着が強い点が典型的ではなかった。私たちは,この組織を,原発性腎炎のまれな病態「膜性増殖性腎炎 (typeIII) 様IgA関連糸球体腎炎」と考えた。
ISSN:0915-2245
1881-3933
DOI:10.3165/jjpn.20.220