痔核結紮切除術における接触型レーザープローブの有用性

現在,本邦の外科臨床における内痔核根治術は旧くから普遍的なMilligan-Morgan法に基づく痔核結紮切除術が標準術式である.しかし,術中の出血制御と術後の局所における愁訴の緩解には解決すべき問題が残されている. この術式に常用されている金属メス・電気メスに替えてNd-YAGレーザー接触型プローブを用いると,痔核を基層から最小限の侵襲で容易に切除でき,出血がないため,手術手技は簡易となる.また,術後の局所疼痛・腫脹も軽微で,創部組織の治癒が早く,在院期間が短縮されるなど好ましい臨床成績が得られる.そこでNd-YAGレーザー接触型プローブの有用性についての知見を得るために,動物実験により,通...

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Published in日本レーザー医学会誌 Vol. 29; no. 2; pp. 112 - 118
Main Authors 丸茂, 岳, 朝子, 理, 大槻, 勝紀, 丸茂, 仁, 笠川, 脩, 伊藤, 裕子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本レーザー医学会 2008
日本レーザー医学会
Subjects
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ISSN0288-6200
1881-1639
DOI10.2530/jslsm.29.112

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Summary:現在,本邦の外科臨床における内痔核根治術は旧くから普遍的なMilligan-Morgan法に基づく痔核結紮切除術が標準術式である.しかし,術中の出血制御と術後の局所における愁訴の緩解には解決すべき問題が残されている. この術式に常用されている金属メス・電気メスに替えてNd-YAGレーザー接触型プローブを用いると,痔核を基層から最小限の侵襲で容易に切除でき,出血がないため,手術手技は簡易となる.また,術後の局所疼痛・腫脹も軽微で,創部組織の治癒が早く,在院期間が短縮されるなど好ましい臨床成績が得られる.そこでNd-YAGレーザー接触型プローブの有用性についての知見を得るために,動物実験により,通常の金属メス・電気メスと比較検討した. レーザープローブの創部では表皮細胞の分裂が亢進しており,iNOS・KGF・KGFRの発現も金属メス・電気メスより亢進していることから,表皮再生が早期より起こると考えられた.すなわち,Nd-YAGレーザー接触型プローブを用いると,手技が簡易で,無血操作が可能となり,創部組織の治癒が早く,低侵襲術式として外科臨床上有用である.
ISSN:0288-6200
1881-1639
DOI:10.2530/jslsm.29.112