関節リウマチとオステオポンチン

関節リウマチ(RA)は, 多発性関節炎を主徴とする慢性炎症疾患であり, その患者数は日本人口の約0.6%と推定されている. RAは自己免疫異常を背景とし, 主病変部の関節では関節を包む滑膜に血管新生およびリンパ球やマクロファージなどの炎症系細胞の浸潤が認められ, 滑膜の異常な増殖によるパンヌスが形成される. また, 関節軟骨では細胞外基質の破壊および軟骨細胞のアポトーシスが認められる. これらの病態形成にはTNF-αなどの炎症性サイトカインが働いており, 抗TNF-α中和抗体は関節炎症状を顕著に改善する生物学的製剤としてデータが蓄積されている. しかし, RA患者の約半数は抗TNF-α中和抗体...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in炎症・再生 Vol. 23; no. 4; pp. 237 - 239
Main Authors 湯本, 健司, 辻, 邦和, 野田, 政樹, 二藤, 彰
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本炎症・再生医学会 2003
日本炎症・再生医学会
Online AccessGet full text
ISSN1346-8022
1880-5795
DOI10.2492/jsir.23.237

Cover

More Information
Summary:関節リウマチ(RA)は, 多発性関節炎を主徴とする慢性炎症疾患であり, その患者数は日本人口の約0.6%と推定されている. RAは自己免疫異常を背景とし, 主病変部の関節では関節を包む滑膜に血管新生およびリンパ球やマクロファージなどの炎症系細胞の浸潤が認められ, 滑膜の異常な増殖によるパンヌスが形成される. また, 関節軟骨では細胞外基質の破壊および軟骨細胞のアポトーシスが認められる. これらの病態形成にはTNF-αなどの炎症性サイトカインが働いており, 抗TNF-α中和抗体は関節炎症状を顕著に改善する生物学的製剤としてデータが蓄積されている. しかし, RA患者の約半数は抗TNF-α中和抗体による改善効果が認められないnon responderであり, RAは治療法が未だ確立されていない原因不明の難病である. 2000年に関節リウマチ患者の肥大滑膜にオステオポンチン(OPN)の発現が増加していることが報告された.
ISSN:1346-8022
1880-5795
DOI:10.2492/jsir.23.237