患者のヘルスリテラシーの問題意識と薬局薬剤師によるカウンセリングの活用との関連性の検討

「緒言」 医療における実現すべき理念として患者中心の医療の実践が提唱され1), インフォームドコンセントの普及によって, 医師は患者に病状や治療方法について詳しく説明し, 最終的に患者が治療方法等を決定するようになってきている. その治療決定の過程における患者の参加形態はさまざまであり, 「受け身的」(参加はするが説明されて納得するタイプ), 「積極的に自己決定に参加する」, 「医師任せ」等がありa), また, 医師と積極的なコミュニケーションを行う患者は自分が受けている医療に対する満足度が高いと報告されている2). 患者の自己決定を患者の義務として捉えるのではなく, 患者が自ら治療に参加する...

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Published in医療薬学 Vol. 37; no. 1; pp. 1 - 12
Main Authors 平野, 和裕, 田中, 恵太郎, 中野, 行孝, 島ノ江, 千里, 藤戸, 博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 2011
日本医療薬学会
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ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.37.1

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Summary:「緒言」 医療における実現すべき理念として患者中心の医療の実践が提唱され1), インフォームドコンセントの普及によって, 医師は患者に病状や治療方法について詳しく説明し, 最終的に患者が治療方法等を決定するようになってきている. その治療決定の過程における患者の参加形態はさまざまであり, 「受け身的」(参加はするが説明されて納得するタイプ), 「積極的に自己決定に参加する」, 「医師任せ」等がありa), また, 医師と積極的なコミュニケーションを行う患者は自分が受けている医療に対する満足度が高いと報告されている2). 患者の自己決定を患者の義務として捉えるのではなく, 患者が自ら治療に参加するという行為を医療者が尊重することが重要であり, それは医療の質とも密接に関連しており, 患者の治療への参加を支援することが医療の質の向上につながると考えられている3,4). 米国保健社会福祉省はヘルスリテラシー(health literacy; HL)を「健康に関する適切な意思決定をするために必要な健康情報やサービスを収集・加工・理解する個人の能力の度合い」と定義しており, 患者が医療に参加できる環境をつくるためには, 患者自身の医療に対する知識を向上させることが重要であると報告しているb).
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.37.1