アジスロマイシンを用いたone-stage full-mouth SRPの効果
歯周疾患は歯周病関連細菌が引き起こす感染症疾患であり, 治療法として最も有効なのはブラッシングやスケーリング·ルートプレーニング (SRP) である。特にSRPは歯肉縁下プラークをコントロールする上で重要な位置を占める。しかし, SRPは通常数回に分けて行われ, SRPを終了した部位にまだSRPを行っていない部位から歯周病関連細菌が伝播し, 処置した部位が再細菌感染を起こし, 歯周疾患の再発を招く危険性が考えられる。そこで我々は, 抗菌内服薬としてアジスロマイシンを術前投与することで細菌数を減少させ, 薬剤濃度が維持された状態で, 全顎のSRPを1回で行うone-stage full-mout...
Saved in:
Published in | 日本歯周病学会会誌 Vol. 48; no. 1; pp. 17 - 27 |
---|---|
Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
2006
日本歯周病学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0385-0110 1880-408X |
DOI | 10.2329/perio.48.17 |
Cover
Summary: | 歯周疾患は歯周病関連細菌が引き起こす感染症疾患であり, 治療法として最も有効なのはブラッシングやスケーリング·ルートプレーニング (SRP) である。特にSRPは歯肉縁下プラークをコントロールする上で重要な位置を占める。しかし, SRPは通常数回に分けて行われ, SRPを終了した部位にまだSRPを行っていない部位から歯周病関連細菌が伝播し, 処置した部位が再細菌感染を起こし, 歯周疾患の再発を招く危険性が考えられる。そこで我々は, 抗菌内服薬としてアジスロマイシンを術前投与することで細菌数を減少させ, 薬剤濃度が維持された状態で, 全顎のSRPを1回で行うone-stage full-mouth SRPを行い, 通法に行なわれる1/3顎ずつのSRPと検出可能な総菌数, 黒色色素産生グラム陰性桿菌数 (BPRs) および各種臨床パラメーターを術後3カ月まで比較検討した。その結果, 総菌数の変化に差は見られなかったが, one-stage full-mouth SRPを行った群ではBPRsが検出されなかったのに対し, 1/3顎ずつのSRPを行った群では術後3カ月以内に検出された。また, 臨床パラメーターは術後3カ月まで, one-stage full-mouth SRPを行った群が1/3顎ずつのSRPを行った群よりも良好な状態を示した。以上の結果から, アジスロマイシンを用いたone-stage full-mouth SRPは臨床的にも細菌学的にも優れた術式であることが示された。 |
---|---|
ISSN: | 0385-0110 1880-408X |
DOI: | 10.2329/perio.48.17 |