アブラキサン®再溶解時間に対する側孔型プラスチック製注射針の有用性に関する検討

「緒言」アルブミン懸濁型パクリタキセル注射剤 (アブラキサン(R)) は, パクリタキセルに人血清アルブミンを結合させた, ナノ粒子製剤である. 従来のパクリタキセル製剤に溶解補助剤として含まれていたポリオキシエチレンヒマシ油やエタノール等の溶媒を使用しない製剤であり, ステロイド剤や抗ヒスタミン剤の前投薬は不要である. また, 点滴時間は従来の製剤よりも短縮され, 30分で高用量のパクリタキセルの投与が可能となった. 現在では, 乳がん, 非小細胞肺がん, 胃がん, 膵がんと適応症を拡大している. 一方, アブラキサン(R)は用時溶解して投与する凍結乾燥製剤であり, 従来の液剤と比較して,...

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Published in医療薬学 Vol. 46; no. 7; pp. 367 - 372
Main Authors 大野, 恵一, 村田, 龍宣, 近藤, 篤, 尾上, 雅英, 松本, 公佑, 渡邊, 裕之, 星田, 唯史, 眞下, 惠次, 平, 大樹, 角本, 幹夫, 菅野, 清彦, 本多, 伸二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 10.07.2020
日本医療薬学会
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Summary:「緒言」アルブミン懸濁型パクリタキセル注射剤 (アブラキサン(R)) は, パクリタキセルに人血清アルブミンを結合させた, ナノ粒子製剤である. 従来のパクリタキセル製剤に溶解補助剤として含まれていたポリオキシエチレンヒマシ油やエタノール等の溶媒を使用しない製剤であり, ステロイド剤や抗ヒスタミン剤の前投薬は不要である. また, 点滴時間は従来の製剤よりも短縮され, 30分で高用量のパクリタキセルの投与が可能となった. 現在では, 乳がん, 非小細胞肺がん, 胃がん, 膵がんと適応症を拡大している. 一方, アブラキサン(R)は用時溶解して投与する凍結乾燥製剤であり, 従来の液剤と比較して, バイアルへの生理食塩液の注入, 5分以上の静置, 内容物の混和と不溶物の目視による確認が必要である. そのため調製完了までに時間を要し, それが患者待ち時間の延長や, 医療スタッフの業務負担につながる.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.46.367