帝王切開術後に肺塞栓症を発症した子宮筋腫合併妊婦の1例
子宮筋腫合併妊娠は,様々な産科合併症の原因となるが,子宮筋腫合併妊娠と静脈血栓塞栓症の関連について述べた報告は少ない.今回,帝王切開術後に肺塞栓症を発症し,venoarterial extracorporeal membrane oxygenation;以下VA-ECMO(percutaneous cardiopulmonary support;以下PCPS)を含めた集中治療により救命できた子宮筋腫合併妊婦の症例を経験したので報告する. 症例は36歳初産婦で,約14cmの巨大子宮筋腫合併妊娠のため当科へ外来紹介となった.妊娠40週5日分娩停止で緊急帝王切開術を行った.術後1日目,初回歩行時に心...
Saved in:
Published in | 日本周産期・新生児医学会雑誌 Vol. 57; no. 1; pp. 129 - 134 |
---|---|
Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本周産期・新生児医学会
2021
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1348-964X 2435-4996 |
DOI | 10.34456/jjspnm.57.1_129 |
Cover
Summary: | 子宮筋腫合併妊娠は,様々な産科合併症の原因となるが,子宮筋腫合併妊娠と静脈血栓塞栓症の関連について述べた報告は少ない.今回,帝王切開術後に肺塞栓症を発症し,venoarterial extracorporeal membrane oxygenation;以下VA-ECMO(percutaneous cardiopulmonary support;以下PCPS)を含めた集中治療により救命できた子宮筋腫合併妊婦の症例を経験したので報告する. 症例は36歳初産婦で,約14cmの巨大子宮筋腫合併妊娠のため当科へ外来紹介となった.妊娠40週5日分娩停止で緊急帝王切開術を行った.術後1日目,初回歩行時に心肺停止となり,胸骨圧迫を実施した.肺塞栓症を強く疑い,気管挿管,VA-ECMO(PCPS)を装着した.造影CTで肺塞栓症と診断した.骨盤内静脈に血栓は認めなかったが,子宮による下大静脈の圧排所見を認めた.集中治療を行い,術後34日目に自宅退院となった. 巨大子宮筋腫合併妊娠では,凝固機能評価を含む血栓の評価や周術期の予防的抗凝固療法などの血栓塞栓症を念頭に置いた管理を実施することが重要である. |
---|---|
ISSN: | 1348-964X 2435-4996 |
DOI: | 10.34456/jjspnm.57.1_129 |