卵巣囊胞滑脱型外鼠径ヘルニア術後に同側卵巣奇形腫と診断された1例

卵巣囊胞滑脱型外鼠径ヘルニア術後に卵巣奇形腫と診断した1 歳児例を経験した.初診時はNuck 管水瘤と診断したが,手術時には卵巣囊腫を内容物とする鼠径ヘルニアであった.この囊腫は卵胞囊胞と思われたため腹腔内に還納して鼠径ヘルニアの根治術を行った.術後6 か月目の超音波検査で患側卵巣に充実成分および石灰化像が出現し,卵巣奇形腫と診断した.腫瘍核出術を行い,病理学的検索では成熟型囊胞性奇形腫であった.女児の鼠径ヘルニアでは,卵巣囊腫や卵巣腫瘍がヘルニア内容となり得ることを考慮に入れ,適切な診断と治療を行うことが重要である.また,鼠径ヘルニアの手術時に卵巣の囊胞性病変を認めた場合には,後に同側腫瘍の...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 51; no. 6; pp. 1053 - 1058
Main Authors 土岐, 彰, 菅沼, 理江, 田中, 彩, 八塚, 正四
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.10.2015
日本小児外科学会
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.51.6_1053

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Summary:卵巣囊胞滑脱型外鼠径ヘルニア術後に卵巣奇形腫と診断した1 歳児例を経験した.初診時はNuck 管水瘤と診断したが,手術時には卵巣囊腫を内容物とする鼠径ヘルニアであった.この囊腫は卵胞囊胞と思われたため腹腔内に還納して鼠径ヘルニアの根治術を行った.術後6 か月目の超音波検査で患側卵巣に充実成分および石灰化像が出現し,卵巣奇形腫と診断した.腫瘍核出術を行い,病理学的検索では成熟型囊胞性奇形腫であった.女児の鼠径ヘルニアでは,卵巣囊腫や卵巣腫瘍がヘルニア内容となり得ることを考慮に入れ,適切な診断と治療を行うことが重要である.また,鼠径ヘルニアの手術時に卵巣の囊胞性病変を認めた場合には,後に同側腫瘍の変化や対側卵巣腫瘍の発生を考慮に入れ,長期的な経過観察を定期的に行うべきである.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.51.6_1053