水腎症をきたした両側性巨大abdominoscrotal hydrocele の1 例

症例は1 歳3 か月男児.新生児期から認められた右陰囊腫脹が増大し1 か月時に当科を紹介受診した.初診時診察では両側の非交通性精巣水瘤を認め経過観察とした.7 か月時の超音波検査にて両陰囊から腹腔内に突出する巨大水瘤を認め両側abdominoscrotal hydrocele(以下ASH)と診断した.両側とも精巣は外鼠径輪に位置していた.1 歳2 か月時のMRI にて長径右18 cm,左10 cm のダンベル型腫瘤を認め,右側は水腎症と水尿管を合併していた.その後左側水瘤は縮小するも右側水瘤は増大し1 歳3 か月時に鼠径管アプローチにて両側水瘤根治術と精巣固定術を施行した.手術では右側水瘤は大...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 49; no. 7; pp. 1258 - 1263
Main Authors 渡邊, 昌彦, 田中, 潔, 武田, 憲子, 高安, 肇, 渡辺, 栄一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.12.2013
日本小児外科学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.49.7_1258

Cover

More Information
Summary:症例は1 歳3 か月男児.新生児期から認められた右陰囊腫脹が増大し1 か月時に当科を紹介受診した.初診時診察では両側の非交通性精巣水瘤を認め経過観察とした.7 か月時の超音波検査にて両陰囊から腹腔内に突出する巨大水瘤を認め両側abdominoscrotal hydrocele(以下ASH)と診断した.両側とも精巣は外鼠径輪に位置していた.1 歳2 か月時のMRI にて長径右18 cm,左10 cm のダンベル型腫瘤を認め,右側は水腎症と水尿管を合併していた.その後左側水瘤は縮小するも右側水瘤は増大し1 歳3 か月時に鼠径管アプローチにて両側水瘤根治術と精巣固定術を施行した.手術では右側水瘤は大きく腹側に伸展していたが腹腔内とは交通せず,水瘤壁は精巣動静脈と精管の周囲を一部残し摘出した.右精巣は細長く変形していた.左側水瘤も腹腔内との交通は認められなかった.巨大ASH は水腎・水尿管,精巣圧排等の合併症を起こすことがあり早期手術が望ましい.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.49.7_1258