膵頭部病変を有する先天性高インスリン血症に対して十二指腸温存膵頭部切除術を施行した1例

「要旨」症例は6か月男児. 出生後より遷延する低血糖を認め, 遺伝子異常を伴わないdiffuse typeの先天性高インスリン血症 (congenital hyperinsulinism: 以下, CHI) と診断された. 内科的治療を先行して行ったが治療抵抗性であった. 生後5か月時に18F-DOPA PETを施行し, 膵頭部に2か所の病変を有するfocal type CHIと診断され, 手術目的に当科紹介となった. 生後6か月時に十二指腸温存膵頭部切除, 膵体尾部空腸吻合, Roux-en Y法による腸管再建を行い, 術後44日目に退院した. 術後1年経過した現在, インスリン依存性糖尿病...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 52; no. 7; pp. 1321 - 1326
Main Authors 福原雅弘, 永田公二, 栗山直剛, 久田正昭, 三好きな, 孝橋賢一, 田口智章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本小児外科学会 20.12.2016
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:「要旨」症例は6か月男児. 出生後より遷延する低血糖を認め, 遺伝子異常を伴わないdiffuse typeの先天性高インスリン血症 (congenital hyperinsulinism: 以下, CHI) と診断された. 内科的治療を先行して行ったが治療抵抗性であった. 生後5か月時に18F-DOPA PETを施行し, 膵頭部に2か所の病変を有するfocal type CHIと診断され, 手術目的に当科紹介となった. 生後6か月時に十二指腸温存膵頭部切除, 膵体尾部空腸吻合, Roux-en Y法による腸管再建を行い, 術後44日目に退院した. 術後1年経過した現在, インスリン依存性糖尿病などの合併症は認めていない. 遺伝子異常を伴わないfocal typeのCHIは, 本邦からの報告はなく, 本症例では18F-DOPA PETが局在診断に有用であった. 膵頭部に病変部を有するCHIの標準的術式について文献的考察を加え報告する.
ISSN:0288-609X
DOI:10.11164/jjsps.52.7_1321