集中治療室における注射剤配合変化早見表の作成と有用性の評価

「緒言」 集中治療室(intensive care unit: ICU)は, 生命予後にかかわる重症患者に対して, 濃厚な治療と看護を提供する病棟である. ICUでは刻々と変化する患者の状態に応じて薬物治療も調節されること, 多種多様な注射剤が高濃度で用いられることが多いことから, 注射剤の配合変化に由来する様々な危険性はほかの一般的な入院病棟と比べ非常に高い. 注射剤の配合変化は不溶物の血管内への流入や薬理効果の低下に繋がり, 治療効果の損失ばかりでなく, 健康被害を引き起こす恐れもあることから, 薬剤師による適切な投与ルートの選択や, 医療スタッフへの迅速かつ的確な配合変化情報の提供が重要...

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Published in医療薬学 Vol. 42; no. 4; pp. 286 - 294
Main Authors 尾川, 理恵, 池末, 裕明, 石田, 茂, 渡邊, 裕之, 金谷, 朗子, 中島, 貴史, 江頭, 伸昭, 武田, 真樹, 増田, 智先
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 10.04.2016
日本医療薬学会
Subjects
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ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.42.286

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Summary:「緒言」 集中治療室(intensive care unit: ICU)は, 生命予後にかかわる重症患者に対して, 濃厚な治療と看護を提供する病棟である. ICUでは刻々と変化する患者の状態に応じて薬物治療も調節されること, 多種多様な注射剤が高濃度で用いられることが多いことから, 注射剤の配合変化に由来する様々な危険性はほかの一般的な入院病棟と比べ非常に高い. 注射剤の配合変化は不溶物の血管内への流入や薬理効果の低下に繋がり, 治療効果の損失ばかりでなく, 健康被害を引き起こす恐れもあることから, 薬剤師による適切な投与ルートの選択や, 医療スタッフへの迅速かつ的確な配合変化情報の提供が重要である. 2008年度の診療報酬改定において, 救命救急入院料等を算定する患者に対する薬剤管理指導料が430点へ増点された. また, 厚生労働省が2007年に公表したICUにおける安全管理についての報告書では, 薬剤師を医薬品管理の責任者とすることや, 薬剤師は配合禁忌等の情報を速やかに医師等に提供することが指針に示されている.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.42.286