新規制吐剤の使用開始前後における外来がん患者の予期性悪心の検討

[緒言] 化学療法により発現する悪心・嘔吐のなかでも予期性悪心・嘔吐は, がん患者が化学療法を受けた後, 悪心・嘔吐を経験するうちに実際の化学療法を受ける前から, 化学療法のことを考えたり, 化学療法に関連した感覚刺激を受けることで, 嘔気を催したり嘔吐するようになる状態を言う. 予期性悪心・嘔吐は, 「古典的条件付け」の機序が作用して発現する現象である.1) 「古典的条件付け」とは例えば, 点滴を受けている部屋に入る, 点滴ボトルを見る, あるいは, 消毒薬の臭いを嗅ぐなどの刺激を受けることで, その結果として予期性悪心・嘔吐を発現することを指す. また, この条件付けられた悪心・嘔吐は化学...

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Published in医療薬学 Vol. 40; no. 3; pp. 165 - 173
Main Authors 石田, 曜子, 小松, 弘和, 中口, 智博, 黒田, 純子, 黒井, 美晴, 近藤, 勝弘, 木村, 和哲, 明智, 龍男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 10.03.2014
日本医療薬学会
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ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.40.165

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Summary:[緒言] 化学療法により発現する悪心・嘔吐のなかでも予期性悪心・嘔吐は, がん患者が化学療法を受けた後, 悪心・嘔吐を経験するうちに実際の化学療法を受ける前から, 化学療法のことを考えたり, 化学療法に関連した感覚刺激を受けることで, 嘔気を催したり嘔吐するようになる状態を言う. 予期性悪心・嘔吐は, 「古典的条件付け」の機序が作用して発現する現象である.1) 「古典的条件付け」とは例えば, 点滴を受けている部屋に入る, 点滴ボトルを見る, あるいは, 消毒薬の臭いを嗅ぐなどの刺激を受けることで, その結果として予期性悪心・嘔吐を発現することを指す. また, この条件付けられた悪心・嘔吐は化学療法終了後も年単位で残存し, がんサバイバーの生活の質や心理状態に負の影響を及ぼす場合があるので, 長期的視点からも重要な問題と言える.2) 予期性悪心・嘔吐の発現因子としては, 年齢, 化学療法時の悪心・嘔吐の経験およびその程度, 不安のレベルなど複数の要因が挙げられる.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.40.165