腹壁に穿通して膀胱前腔膿瘍を形成したメッケル憩室の1例

「要旨」 メッケル憩室の多くは無症状であるが, さまざまな病態を引き起こすことがある. 今回, 我々はメッケル憩室が腹壁に穿通し膀胱前腔膿瘍を形成した稀な1例を経験したので報告する. 症例は6歳, 男児. 4日前より下腹部痛を認め, 腹痛の増強, 発熱を認めるようになったため, 前医を受診した. 消化管穿孔が疑われたため当院に救急搬送され, 同日緊急手術を行った. 腹腔鏡で観察したところ, メッケル憩室と大網が腹壁に癒着し, 腹壁に1cm弱の孔を認め, 同部位より膿の流出を認めた. メッケル憩室が腹壁に穿通して膀胱前腔膿瘍を形成したと診断し, メッケル憩室の切除及び膿瘍ドレナージを施行した....

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 55; no. 7; pp. 1193 - 1197
Main Authors 桑原淳, 竜田恭介, 松本紘典, 杉下博基, 菊池聡, 秋田聡, 吉田素平, 古賀繁宏, 石丸啓, 渡部祐司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本小児外科学会 20.12.2019
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Summary:「要旨」 メッケル憩室の多くは無症状であるが, さまざまな病態を引き起こすことがある. 今回, 我々はメッケル憩室が腹壁に穿通し膀胱前腔膿瘍を形成した稀な1例を経験したので報告する. 症例は6歳, 男児. 4日前より下腹部痛を認め, 腹痛の増強, 発熱を認めるようになったため, 前医を受診した. 消化管穿孔が疑われたため当院に救急搬送され, 同日緊急手術を行った. 腹腔鏡で観察したところ, メッケル憩室と大網が腹壁に癒着し, 腹壁に1cm弱の孔を認め, 同部位より膿の流出を認めた. メッケル憩室が腹壁に穿通して膀胱前腔膿瘍を形成したと診断し, メッケル憩室の切除及び膿瘍ドレナージを施行した. 術後経過は良好であり, 術後8日目に退院した. 病理所見では, メッケル憩室先端に異所性胃粘膜を認め, 潰瘍穿孔が原因であると考えられた. メッケル憩室穿通の術前診断は困難であるが, 審査腹腔鏡から開始したことで術中診断が可能となり, 良好な経過を得ることができたと考えられる.
ISSN:0288-609X
DOI:10.11164/jjsps.55.7_1193