Upside down stomachを伴ったIV型食道裂孔ヘルニアに対して腹腔鏡下修復術を施行した1例
症例は79歳の女性。心窩部痛および嘔吐が持続し,経口摂取困難になったため前医を受診し,精査目的で当院紹介となった。胸腹部CT検査では胃および横行結腸が縦隔内に逸脱し,胃は間膜軸性に捻転してupside down stomachを呈していた。上部消化管造影検査では胃は反転しており,胃全体が縦隔内に脱出していた。以上より,upside down stomachを伴うIV型食道裂孔ヘルニアと診断し腹腔鏡下修復術を施行した。手術は開脚仰臥位,5ポートにて行った。手術所見では80×60 mmの食道裂孔ヘルニアを認め,縦隔内に全胃および横行結腸が陥入していた。脱出した臓器を腹腔内に還納後に開大した食道裂孔...
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Published in | 聖マリアンナ医科大学雑誌 Vol. 48; no. 3; pp. 139 - 148 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
学校法人 聖マリアンナ医科大学医学会
2020
聖マリアンナ医科大学医学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0387-2289 2189-0285 |
DOI | 10.14963/stmari.48.139 |
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Summary: | 症例は79歳の女性。心窩部痛および嘔吐が持続し,経口摂取困難になったため前医を受診し,精査目的で当院紹介となった。胸腹部CT検査では胃および横行結腸が縦隔内に逸脱し,胃は間膜軸性に捻転してupside down stomachを呈していた。上部消化管造影検査では胃は反転しており,胃全体が縦隔内に脱出していた。以上より,upside down stomachを伴うIV型食道裂孔ヘルニアと診断し腹腔鏡下修復術を施行した。手術は開脚仰臥位,5ポートにて行った。手術所見では80×60 mmの食道裂孔ヘルニアを認め,縦隔内に全胃および横行結腸が陥入していた。脱出した臓器を腹腔内に還納後に開大した食道裂孔の横隔膜脚を非吸収糸にて縫合閉鎖し,メッシュを用いて食道裂孔部を補強した。さらにToupet法による噴門形成術を施行した。術後経過は良好であり,重篤な術後合併症を認めなかった。術後4日で経口摂取を開始,以後,経口摂取は安定し術後20日にリハビリ病院へ転院となった。upside down stomachは胃軸捻転を伴い,高度に胃が縦隔内へ脱出した稀な病態である。今回,われわれはupside down stomachを伴ったIV型食道裂孔ヘルニアに対して腹腔鏡下手術で修復し得たので報告する。 |
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ISSN: | 0387-2289 2189-0285 |
DOI: | 10.14963/stmari.48.139 |