外来がん化学療法における有害事象の共通用語基準に基づいたトレーシングレポートの有用性

「緒言」近年, がん化学療法は分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬の登場, 支持療法の進歩, 入院医療費の包括化, 外来化学療法加算などを背景に入院での治療から外来での通院治療に移行している. また医薬分業が進み, 注射抗がん薬は医療機関で投与され, 保険薬局で調剤された経口抗がん薬や支持療法薬を患者またはその家族が管理する機会が増えている. そのため, 服薬アドヒアランスの維持や有害事象の早期発見などが患者またはその家族に委ねられることになる. がん化学療法による有害事象は日常生活に影響を及ぼし, quality of life(QOL)を低下させることが知られているが, 一方で病院薬...

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Published in医療薬学 Vol. 47; no. 12; pp. 649 - 658
Main Authors 有田, 仁紀, 渡辺, 和美, 坂本, 真紀, 花井, 雄貴, 柳野, 紗智子, 西澤, 健司, 宮川, ありす, 宮田, 祥一, 石川, 曜平, 菅井, 瞳, 松本, 高広
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 10.12.2021
日本医療薬学会
Subjects
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ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.47.649

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Summary:「緒言」近年, がん化学療法は分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬の登場, 支持療法の進歩, 入院医療費の包括化, 外来化学療法加算などを背景に入院での治療から外来での通院治療に移行している. また医薬分業が進み, 注射抗がん薬は医療機関で投与され, 保険薬局で調剤された経口抗がん薬や支持療法薬を患者またはその家族が管理する機会が増えている. そのため, 服薬アドヒアランスの維持や有害事象の早期発見などが患者またはその家族に委ねられることになる. がん化学療法による有害事象は日常生活に影響を及ぼし, quality of life(QOL)を低下させることが知られているが, 一方で病院薬剤師が薬学的管理を行うことで有害事象の軽減に貢献したという報告もある. 現在, 安全性の高いがん化学療法を施行するために, 病院薬剤師と保険薬局薬剤師との連携が重要視され, 情報共有ツールとしてお薬手帳や薬剤情報提供書などを使用した取り組みやトレーシングレポートの有効性が報告されている.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.47.649