肝疾患マーカー候補としての酸化型アルブミンの構造と機能解析およびその生理学的意義

1. はじめに 近年, ゲノミクスやプロテオミクスなどの先端技術を駆使した疾患マーカー候補タンパク質の探索研究が世界中で精力的に行われている. しかしながら, 疾患マーカーとして実際に臨床の場で活躍するためには多くのハードルを越えなくてはならない. プロテオミクスにより発見される疾患マーカータンパク質は, 1. 遺伝的なアミノ酸変異, 2. 発現量の変化, 3. 翻訳後修飾の変化に起因したものに分類できる. ゲノミクスなどの他の手法と比較して, 翻訳後修飾の変化を捉える疾患マーカー探索がプロテオミクスに最も期待されているところである. 感度とスループットが圧倒的に優れている質量分析は, プロテ...

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Published in生物物理化学 Vol. 52; no. 2; pp. 25 - 30
Main Authors 鈴木, 榮一郎, 中山, 聡, 山田, 尚之, 河上, 麻美, 窪田, 和幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本電気泳動学会 2008
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ISSN0031-9082
1349-9785
DOI10.2198/sbk.52.25

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Summary:1. はじめに 近年, ゲノミクスやプロテオミクスなどの先端技術を駆使した疾患マーカー候補タンパク質の探索研究が世界中で精力的に行われている. しかしながら, 疾患マーカーとして実際に臨床の場で活躍するためには多くのハードルを越えなくてはならない. プロテオミクスにより発見される疾患マーカータンパク質は, 1. 遺伝的なアミノ酸変異, 2. 発現量の変化, 3. 翻訳後修飾の変化に起因したものに分類できる. ゲノミクスなどの他の手法と比較して, 翻訳後修飾の変化を捉える疾患マーカー探索がプロテオミクスに最も期待されているところである. 感度とスループットが圧倒的に優れている質量分析は, プロテオミクスの主要技術として疾患マーカー候補探索に盛んに用いられている. その一方, 質量分析の診断・臨床検査への応用は, 異常ヘモグロビンや異常トランスサイレチンなど遺伝性疾患に関するものに限られている1).
ISSN:0031-9082
1349-9785
DOI:10.2198/sbk.52.25