ウイルス性肝炎:A型からE型まで

現在までに明らかにされている5種類の肝炎ウイルスのうちE型肝炎は本邦では輸入感染症とみなされていた. 最近になり本邦におけるE型肝炎の定着を示唆する成績が発表されているが, 他の肝炎に比べて認知度が低いように思われる. 一方, インターフェロンやリバビリン, ラミブジンなど抗ウイルス薬が普及してウイルス肝炎の治療が飛躍的に進歩した. C型肝炎の治療については別稿で詳述されるので, 本稿ではウイルス肝炎の概略を述べる. I. ウイルス肝炎の種類 肝炎ウイルスとは肝細胞内で増殖し肝炎を惹起するウイルスである. 現在A型~E型肝炎ウイルスが認知されている(表1). 肝炎ウイルスは感染様式から流行性肝...

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Bibliographic Details
Published in日本医科大学医学会雑誌 Vol. 1; no. 4; pp. 189 - 194
Main Authors 勝田, 悌実, 古明地, 弘和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2005
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ISSN1349-8975
1880-2877
DOI10.1272/manms.1.189

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Summary:現在までに明らかにされている5種類の肝炎ウイルスのうちE型肝炎は本邦では輸入感染症とみなされていた. 最近になり本邦におけるE型肝炎の定着を示唆する成績が発表されているが, 他の肝炎に比べて認知度が低いように思われる. 一方, インターフェロンやリバビリン, ラミブジンなど抗ウイルス薬が普及してウイルス肝炎の治療が飛躍的に進歩した. C型肝炎の治療については別稿で詳述されるので, 本稿ではウイルス肝炎の概略を述べる. I. ウイルス肝炎の種類 肝炎ウイルスとは肝細胞内で増殖し肝炎を惹起するウイルスである. 現在A型~E型肝炎ウイルスが認知されている(表1). 肝炎ウイルスは感染様式から流行性肝炎(伝染性肝炎)を起こすA型肝炎ウイルス(HAV)とE型肝炎ウイルス(HEV), 血清肝炎を起こすB型肝炎ウイルス(HBV), C型肝炎ウイルス(HCV)およびD型肝炎ウイルス(HDV;デルタ肝炎ウイルス)の二つに大別される. サイトメガロウイルスやEBウイルスなど, 様々なウイルスが肝炎を起こすが, これらは肝炎ウイルスの範疇には入らない.
ISSN:1349-8975
1880-2877
DOI:10.1272/manms.1.189