アミオダロン静脈注射薬がBrugada症候群患者における心室細動誘発に与える影響

【背景】心室細動(VF),心室頻拍に対するアミオダロン(AMD)静注薬は2007年より本邦でも使用可能になった.しかし,Brugada症候群におけるVFに対するAMD静注薬の有効性に一定の見解は得られていない.【目的】Brugada症候群におけるVFの誘発性に対しAMD静注薬の及ぼす影響を,電気生理学的検査(EPS)を用いて検討した.【対象・方法】無投薬もしくはピルジカイニド負荷試験にてtype 1Brugada型心電図を呈し,心事故の危険性を層別化するために行ったEPSによりVFが誘発された連続7例を対象とした.全例男性で,失神歴を有する1例を除き無症候性であった.これらに対してAMD静注薬...

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Published in心電図 Vol. 30; no. 2; pp. 123 - 130
Main Authors 北條, 林太郎, 辰本, 明子, 高野, 誠, 仲井, 盛, 小田切, 史徳, 小宮山, 浩大, 弓場, 隆生, 大塚, 信一郎, 小松, 宏貴, 田辺, 康宏, 水澤, 有香, 深水, 誠二, 手島, 保, 櫻田, 春水, 西崎, 光弘, 平岡, 昌和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 2010
日本心電学会
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Summary:【背景】心室細動(VF),心室頻拍に対するアミオダロン(AMD)静注薬は2007年より本邦でも使用可能になった.しかし,Brugada症候群におけるVFに対するAMD静注薬の有効性に一定の見解は得られていない.【目的】Brugada症候群におけるVFの誘発性に対しAMD静注薬の及ぼす影響を,電気生理学的検査(EPS)を用いて検討した.【対象・方法】無投薬もしくはピルジカイニド負荷試験にてtype 1Brugada型心電図を呈し,心事故の危険性を層別化するために行ったEPSによりVFが誘発された連続7例を対象とした.全例男性で,失神歴を有する1例を除き無症候性であった.これらに対してAMD静注薬を投与し,投与前後での電気生理学的特徴,VFの誘発性を比較した.【結果】AMD静注射後にEPSを施行したところ,AH間隔(投与前97.9±12.2msec,投与後118.6±16.1msec p値=0.0008)とHV間隔(投与前47.1±7.6msec,投与後53.7±8.9msec p値=0.012)の延長を認めた.7例中5例は,無投薬下でVF誘発のために右室心尖部もしくは右室流出路の3連期外刺激を要したが,AMD静注薬投与後はより簡易な2連期外刺激でVFが誘発された.【結論】Brugada症候群におけるVFの誘発性はAMD静注薬では抑制されなかった.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.30.123