胆嚢癌を否定できなかった胆嚢線維性ポリープの1例

要旨:症例は60歳代,女性.乳癌術後再発に対する化学療法後の経過観察中に,腹部超音波検査にて1年前より指摘されていた胆嚢ポリープが8 mmから11 mmへ増大あり紹介受診された.血液検査では肝胆道系酵素の上昇や腫瘍マーカーの上昇は認めなかった.腹部超音波検査では胆嚢底部に点状高エコーのある低エコー腫瘤を認め,胆嚢壁血流速度は最大13.4 cm/秒であった.Sonazoid®造影超音波検査,DynamicCT検査では持続性に造影効果を認めた.EUSでは胆嚢底部に12 mm大の有茎性で境界部位に線状の高エコーのある,表面平滑だが八頭状の,内部不均一な低エコー腫瘤として描出された.早期胆嚢癌を否定で...

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Published in胆道 Vol. 26; no. 5; pp. 712 - 719
Main Authors 清野, 隆史, 森島, 大雅, 片山, 雅貴, 石川, 英樹, 大塚, 裕之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 2012
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.26.712

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Summary:要旨:症例は60歳代,女性.乳癌術後再発に対する化学療法後の経過観察中に,腹部超音波検査にて1年前より指摘されていた胆嚢ポリープが8 mmから11 mmへ増大あり紹介受診された.血液検査では肝胆道系酵素の上昇や腫瘍マーカーの上昇は認めなかった.腹部超音波検査では胆嚢底部に点状高エコーのある低エコー腫瘤を認め,胆嚢壁血流速度は最大13.4 cm/秒であった.Sonazoid®造影超音波検査,DynamicCT検査では持続性に造影効果を認めた.EUSでは胆嚢底部に12 mm大の有茎性で境界部位に線状の高エコーのある,表面平滑だが八頭状の,内部不均一な低エコー腫瘤として描出された.早期胆嚢癌を否定できず,開腹胆嚢摘出術を施行し,切除病理組織では,有茎性で既存の胆嚢上皮により被覆され,上皮下に浮腫状の線維性間質像を示す線維性ポリープであった.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.26.712