空洞内の菌球を確認し得た肺アスペルギローマの2例

背景.肺アスペルギローマは既存の肺病変が存在する患者に発症することが多い.肺機能低下で手術治療が困難な例もある.喀痰培養での診断率は高くなく,肺癌合併例も散見されることから,気管支鏡検査による病理学的診断が必要な場合がある.症例1.68歳,女性.非結核性抗酸菌症の治療中,胸部単純CTを再検したところ,既知の左下葉空洞内の病変の増大を認めた.肺アスペルギローマが疑われ気管支鏡検査にて菌球を生検し,肺アスペルギローマの診断に至った.症例2.57歳,男性.胸部単純X線にて左上肺野に空洞影を認めた.胸部単純CTでは気腫性肺を認め,左上葉囊胞内に菌球を疑う病変を認めて気管支鏡検査にて生検し,肺アスペルギ...

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Published in気管支学 Vol. 42; no. 5; pp. 448 - 455
Main Authors 谷村, 航太, 米田, 太郎, 加瀬, 一政, 上田, 宰, 木場, 隼人, 笠原, 寿郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.09.2020
日本呼吸器内視鏡学会
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Summary:背景.肺アスペルギローマは既存の肺病変が存在する患者に発症することが多い.肺機能低下で手術治療が困難な例もある.喀痰培養での診断率は高くなく,肺癌合併例も散見されることから,気管支鏡検査による病理学的診断が必要な場合がある.症例1.68歳,女性.非結核性抗酸菌症の治療中,胸部単純CTを再検したところ,既知の左下葉空洞内の病変の増大を認めた.肺アスペルギローマが疑われ気管支鏡検査にて菌球を生検し,肺アスペルギローマの診断に至った.症例2.57歳,男性.胸部単純X線にて左上肺野に空洞影を認めた.胸部単純CTでは気腫性肺を認め,左上葉囊胞内に菌球を疑う病変を認めて気管支鏡検査にて生検し,肺アスペルギローマの診断に至った.結論.気管支鏡にて菌球を直視でき,気管支鏡による生検にて診断し得た肺アスペルギローマの2症例を経験した.ともに低肺機能のため外科的治療が困難であったが,抗真菌薬治療にて改善を得ることができた.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.42.5_448