当院における膵癌の患者・臨床背景とリスクファクターの検討

膵癌の診断は画像機器の進歩に伴い向上してきたが,なお発見時には進行しており切除不能であることが多い.早期発見には高危険群を設定し積極的にアプローチすることが重要である.今回我々は膵癌153症例を対象とし患者・臨床背景を詳細に解析し,危険因子を検討した.対照は便潜血陽性で大腸内視鏡検査を施行した症例のうち,性,年齢をマッチさせた153例とした.膵癌症例における男女間の比較では占拠部位として膵頭部が女性で高率であった.初診時主訴は背部痛と食思不振が進行例に多い傾向にあった.症例対照間の比較では,男性で他癌既往が有意に高率で(30.0%;P=0.030),糖尿病の頻度も高い傾向であった.他癌既往の内...

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Published in膵臓 Vol. 27; no. 2; pp. 158 - 166
Main Authors 村脇, 義和, 松本, 和也, 八島, 一夫, 武田, 洋平, 河口, 剛一郎, 原田, 賢一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 2012
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ISSN0913-0071
1881-2805
DOI10.2958/suizo.27.158

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Summary:膵癌の診断は画像機器の進歩に伴い向上してきたが,なお発見時には進行しており切除不能であることが多い.早期発見には高危険群を設定し積極的にアプローチすることが重要である.今回我々は膵癌153症例を対象とし患者・臨床背景を詳細に解析し,危険因子を検討した.対照は便潜血陽性で大腸内視鏡検査を施行した症例のうち,性,年齢をマッチさせた153例とした.膵癌症例における男女間の比較では占拠部位として膵頭部が女性で高率であった.初診時主訴は背部痛と食思不振が進行例に多い傾向にあった.症例対照間の比較では,男性で他癌既往が有意に高率で(30.0%;P=0.030),糖尿病の頻度も高い傾向であった.他癌既往の内訳は胃癌,大腸癌など消化器癌が多かった.男性では消化器癌を中心とした他癌既往が新たな危険群の候補となる可能性が示唆された.女性では特徴的なリスクはなく今後の課題と考えられた.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.27.158