経時的に縮小と増大を繰り返した膵腺房細胞癌の1切除例

われわれが経験した膵腺房細胞癌の71歳男性の1切除例は,遡及的にみると2度の縮小・増大を繰り返し,悪性腫瘍としては発育態度が極めて奇異であった.また,本疾患は予後不良と報告されているが,補助化学療法の施行なく,術後6年の生存を得た.患者は,背部の重苦しさを主訴に200X年4月に精査目的で当院を受診した.画像検査で肝膵間に類楕円体腫瘤を認め,遡ると200X-6年6月に径40mmの腫瘤を認めていた.その後,2度の縮小・増大を繰り返して200X年4月に径65mmを示した.内部不均一で富血管性の充実性腫瘍であり,門脈による圧痕を認めるほどに軟らかく,圧排性発育を示した.一方,CEA 62.0ng/ml...

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Published in膵臓 Vol. 35; no. 2; pp. 222 - 233
Main Authors 藤本, 武利, 加藤, 洋, 岡井, 隆広, 中西, 淳, 煎本, 正博, 安田, 是和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本膵臓学会 30.04.2020
日本膵臓学会
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Summary:われわれが経験した膵腺房細胞癌の71歳男性の1切除例は,遡及的にみると2度の縮小・増大を繰り返し,悪性腫瘍としては発育態度が極めて奇異であった.また,本疾患は予後不良と報告されているが,補助化学療法の施行なく,術後6年の生存を得た.患者は,背部の重苦しさを主訴に200X年4月に精査目的で当院を受診した.画像検査で肝膵間に類楕円体腫瘤を認め,遡ると200X-6年6月に径40mmの腫瘤を認めていた.その後,2度の縮小・増大を繰り返して200X年4月に径65mmを示した.内部不均一で富血管性の充実性腫瘍であり,門脈による圧痕を認めるほどに軟らかく,圧排性発育を示した.一方,CEA 62.0ng/mlを認めたため超音波誘導下経皮的針生検を行い,原発不明の腺癌と判明した.200X年7月腫瘍摘出術を行った.病理組織診断は膵腺房細胞癌であった.術後に再発を認めず,6年後に原発性肺癌のため死亡した.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.35.222