腹腔内出血によるショックを来した胆嚢仮性動脈瘤破裂の1例

症例は脳梗塞後遺症のため施設入所中の72歳,男性.発熱,嘔吐精査目的のため当院に救急搬送され,急性胆嚢炎の診断で入院となった.併存疾患が多く手術高リスクと判断し抗菌薬投与とPTGBDによる治療を選択した.治療への反応は良好であったが9日目にPTGBDより血性排液を認めショックを呈した.造影CTで胆嚢仮性動脈瘤破裂に伴う腹腔内出血の診断に至り,緊急で経カテーテル動脈塞栓術(TAE)を先行し,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.胆嚢仮性動脈瘤は比較的まれな病態で,破裂例の多くは胆道出血に伴う胆道疝痛や吐下血を契機に診断される.本症例は胆嚢炎の炎症波及により胆嚢仮性動脈瘤が多発し,胆嚢頸部遊離腹腔側で破裂...

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Published in胆道 Vol. 33; no. 5; pp. 892 - 899
Main Authors 若林, 剛, 三島, 江平, 本多, 正幸, 尾崎, 貴洋, 宮田, 量平, 五十嵐, 一晴
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 31.12.2019
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.33.892

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Summary:症例は脳梗塞後遺症のため施設入所中の72歳,男性.発熱,嘔吐精査目的のため当院に救急搬送され,急性胆嚢炎の診断で入院となった.併存疾患が多く手術高リスクと判断し抗菌薬投与とPTGBDによる治療を選択した.治療への反応は良好であったが9日目にPTGBDより血性排液を認めショックを呈した.造影CTで胆嚢仮性動脈瘤破裂に伴う腹腔内出血の診断に至り,緊急で経カテーテル動脈塞栓術(TAE)を先行し,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.胆嚢仮性動脈瘤は比較的まれな病態で,破裂例の多くは胆道出血に伴う胆道疝痛や吐下血を契機に診断される.本症例は胆嚢炎の炎症波及により胆嚢仮性動脈瘤が多発し,胆嚢頸部遊離腹腔側で破裂したことで腹腔内出血を来した.治療は全身状態,瘤の位置,胆嚢炎の程度に応じて選択すべきだが,手術困難症例やショック症例においてはTAE先行後の胆嚢摘出術は1つの有用な治療戦略となりえる.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.33.892