EGFR-TKIによる形質転換との鑑別を要した肺大細胞神経内分泌癌の1例

背景.EGFR-TKIはEGFR遺伝子変異陽性肺癌におけるキードラッグだが,耐性がいずれ獲得される.耐性機序の1つとして形質転換が報告されている.症例.71歳,男性.肺腺癌術後再発(EGFR遺伝子exon 19欠失陽性)の診断でアファチニブを内服し,部分奏効が得られていた.多発結節影の出現,縦隔リンパ節の腫大を認め,病勢進行と診断し再生検を施行する方針となった.経食道的超音波内視鏡下穿刺吸引法により縦隔リンパ節生検を施行したところ,大細胞神経内分泌癌を示唆する非小細胞癌と診断された.EGFR遺伝子変異陰性であり,EGFR-TKI耐性機序としての形質転換ではなく,2次原発肺癌としての肺大細胞神経...

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Published in気管支学 Vol. 41; no. 6; pp. 585 - 590
Main Authors 熊谷, 英之, 渡邉, 恵介, 三宅, 暁夫, 篠田, 雅宏, 湯本, 健太郎, 池田, 美彩子, 佐藤, 隆, 新海, 正晴, 金子, 猛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.11.2019
日本呼吸器内視鏡学会
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Summary:背景.EGFR-TKIはEGFR遺伝子変異陽性肺癌におけるキードラッグだが,耐性がいずれ獲得される.耐性機序の1つとして形質転換が報告されている.症例.71歳,男性.肺腺癌術後再発(EGFR遺伝子exon 19欠失陽性)の診断でアファチニブを内服し,部分奏効が得られていた.多発結節影の出現,縦隔リンパ節の腫大を認め,病勢進行と診断し再生検を施行する方針となった.経食道的超音波内視鏡下穿刺吸引法により縦隔リンパ節生検を施行したところ,大細胞神経内分泌癌を示唆する非小細胞癌と診断された.EGFR遺伝子変異陰性であり,EGFR-TKI耐性機序としての形質転換ではなく,2次原発肺癌としての肺大細胞神経内分泌癌と診断した.結論.EGFR-TKI投与中の形質転換が報告されているが,重複癌の発生も十分に起こり得る.既診断肺癌の形質転換と2次原発肺癌では治療方針が異なり,確実な鑑別を行うことが必要であると考えられた.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.41.6_585