慢性膵炎に対する膵管ドレナージ術における有病期間と手術成績の検討

背景:慢性膵炎は内科治療が困難な際に手術適応があるが,その至適時期については,明らかにされていない.目的:慢性膵炎手術症例において術前の有病期間と術後成績を解析し,手術の至適時期を検討する.方法:2005年1月~2016年4月に当科で慢性膵炎に対し,膵管ドレナージ術を施行した50症例を,発症から手術までの期間が5年未満の早期群と5年以上の晩期群に分け,その成績を検討した.結果:患者背景,手術成績,周術期成績は両群間で有意差は認めなかった.疼痛は両群ともに有意に改善した.手術前後で栄養状態は両群ともに改善を認め,両群間で有意差は認めなかった.新規の糖尿病や膵癌発症は認めなかった.結論:膵管ドレナ...

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Published in膵臓 Vol. 35; no. 6; pp. 551 - 558
Main Authors 佐藤, 英昭, 石田, 晶玄, 元井, 冬彦, 大塚, 英郎, 水間, 正道, 林, 洋毅, 森川, 孝則, 中川, 圭, 正宗, 淳, 内藤, 剛, 亀井, 尚, 江川, 新一, 海野, 倫明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本膵臓学会 28.12.2020
日本膵臓学会
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Summary:背景:慢性膵炎は内科治療が困難な際に手術適応があるが,その至適時期については,明らかにされていない.目的:慢性膵炎手術症例において術前の有病期間と術後成績を解析し,手術の至適時期を検討する.方法:2005年1月~2016年4月に当科で慢性膵炎に対し,膵管ドレナージ術を施行した50症例を,発症から手術までの期間が5年未満の早期群と5年以上の晩期群に分け,その成績を検討した.結果:患者背景,手術成績,周術期成績は両群間で有意差は認めなかった.疼痛は両群ともに有意に改善した.手術前後で栄養状態は両群ともに改善を認め,両群間で有意差は認めなかった.新規の糖尿病や膵癌発症は認めなかった.結論:膵管ドレナージ術は罹患期間に関わらず有用であった.手術成績に差がないことから,内科的治療に抵抗性となった場合,早期手術は有病期間を減じ,QOLを改善することが可能と思われる.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.35.551