小胃症,食道裂孔ヘルニアを合併した無脾症候群にHunt-Lawrence pouchが有用であった1例

無脾症候群は,両側右側構造と複雑心血管奇形をもつ複合奇形疾患である.生存率向上のためには合併する心血管奇形の治療に加え,消化器疾患の治療戦略が特に重要である.今回,全胃が縦隔内に嵌入し小胃症を伴う食道裂孔ヘルニアを合併した無脾症候群の男児に対し,Hunt-Lawrence pouchによる胃拡大術を行った症例を経験したので報告する.症例は男児,生後1か月で単心室に対する姑息術,生後3か月で食道裂孔ヘルニア手術,胃瘻造設術を行った.その後も胃の容量が小さく,高度な胃食道逆流症が残存したため,2歳時のFontan手術を経て2歳6か月時に胃容量拡大目的にHunt-Lawrence pouchを付加し...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 54; no. 2; pp. 280 - 284
Main Authors 福本, 弘二, 矢本, 真也, 光永, 眞貴, 内藤, 千絵, 漆原, 直人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.04.2018
日本小児外科学会
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.54.2_280

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Summary:無脾症候群は,両側右側構造と複雑心血管奇形をもつ複合奇形疾患である.生存率向上のためには合併する心血管奇形の治療に加え,消化器疾患の治療戦略が特に重要である.今回,全胃が縦隔内に嵌入し小胃症を伴う食道裂孔ヘルニアを合併した無脾症候群の男児に対し,Hunt-Lawrence pouchによる胃拡大術を行った症例を経験したので報告する.症例は男児,生後1か月で単心室に対する姑息術,生後3か月で食道裂孔ヘルニア手術,胃瘻造設術を行った.その後も胃の容量が小さく,高度な胃食道逆流症が残存したため,2歳時のFontan手術を経て2歳6か月時に胃容量拡大目的にHunt-Lawrence pouchを付加した胃空腸吻合術を施行し,経過は良好である.無脾症候群は心血管疾患,消化器疾患ともに複雑な疾患であるため,各科連携をとり,手術の時期と方法を選択し,集学的な治療戦略を立てることが肝要である.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.54.2_280