ソラフェニブによる手足症候群に対する尿素配合軟膏の予防投与の有効性

「緒言」 本邦において原発性肝がんは罹患数および死亡数ともに4番目のがんであり, 2008年の罹患数は48,512人, 2012年の死亡数は30,690人とそれぞれ算出されている. ソラフェニブは進行肝細胞がんに対して有意な生存期間の延長を示した唯一の薬剤であり, 進行肝細胞がんの標準療法に位置付けられている. 手足皮膚反応(hand-foot skin reaction: HFSR)は一部の抗がん剤によって手掌や足底に感覚異常, 発赤, 角化, 水疱等が引き起こされる病変であり, 時として日常生活に支障を来すほどの重篤な症状を呈すこともある. HFSRは原因薬剤によって症状が異なり, ソラフ...

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Published in医療薬学 Vol. 41; no. 1; pp. 18 - 23
Main Authors 船崎, 秀樹, 清水, 怜, 池田, 公史, 鈴木, 真也, 高橋, 秀明, 光永, 修一, 市田, 泰彦, 齊藤, 真一郎, 小林, 美沙樹, 小田中, みのり, 高橋, 邦雄, 大野, 泉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 10.01.2015
日本医療薬学会
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ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.41.18

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Summary:「緒言」 本邦において原発性肝がんは罹患数および死亡数ともに4番目のがんであり, 2008年の罹患数は48,512人, 2012年の死亡数は30,690人とそれぞれ算出されている. ソラフェニブは進行肝細胞がんに対して有意な生存期間の延長を示した唯一の薬剤であり, 進行肝細胞がんの標準療法に位置付けられている. 手足皮膚反応(hand-foot skin reaction: HFSR)は一部の抗がん剤によって手掌や足底に感覚異常, 発赤, 角化, 水疱等が引き起こされる病変であり, 時として日常生活に支障を来すほどの重篤な症状を呈すこともある. HFSRは原因薬剤によって症状が異なり, ソラフェニブを含むキナーゼ阻害薬に起因する場合, 限局性で角化傾向が強い特徴がある. 反復した物理刺激の起こる部位や角化肥厚のある部位に好発し, 表皮の乾燥によって増悪すると言われている. HFSRに対する標準的な予防法は確立されていないが, 皮膚に対する物理的刺激の軽減, 尿素やサリチル酸を含む皮膚軟化剤による角質処理, 保湿剤の使用等が推奨されている.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.41.18