気管支異物除去術中に両側緊張性気胸を起こした1例

1歳6ヵ月, 男児. ピーナッツ誤飲後の喘鳴を主訴として来院. 左気管支異物の診断で全身麻酔下での摘出術が予定された. ラリンジアルマスクからフォガティーカテーテルを通しての異物除去術施行中, 急激な経皮的酸素飽和度の低下と著明な腹部膨満を認めた. すぐさま気管挿管を行ったが, 換気困難で両側肺音も聴取できなかった. 経皮的酸素飽和度は測定不可能となり, 徐脈となった. 左緊張性気胸を考えて緊急脱気を行ったところ経皮的酸素飽和度が60%台まで回復した. 胸部X線では両側緊張性気胸が認められたため, 両側トロッカーカテーテル挿入を行った. 腹部膨満は気腹と皮下気腫であった. 緊張性気胸の原因は術...

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 30; no. 1; pp. 77 - 81
Main Authors 岡田, 真行, 工藤, 雅哉, 井筒, 美和, 吉岡, 成知
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 2010
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ISSN0285-4945
1349-9149
DOI10.2199/jjsca.30.77

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Summary:1歳6ヵ月, 男児. ピーナッツ誤飲後の喘鳴を主訴として来院. 左気管支異物の診断で全身麻酔下での摘出術が予定された. ラリンジアルマスクからフォガティーカテーテルを通しての異物除去術施行中, 急激な経皮的酸素飽和度の低下と著明な腹部膨満を認めた. すぐさま気管挿管を行ったが, 換気困難で両側肺音も聴取できなかった. 経皮的酸素飽和度は測定不可能となり, 徐脈となった. 左緊張性気胸を考えて緊急脱気を行ったところ経皮的酸素飽和度が60%台まで回復した. 胸部X線では両側緊張性気胸が認められたため, 両側トロッカーカテーテル挿入を行った. 腹部膨満は気腹と皮下気腫であった. 緊張性気胸の原因は術操作中の陽圧換気による末梢気道内圧上昇にあると考えられた. 2日後に小児用PCPS準備下で摘出術が施行され, 2週間後に合併症なく退院した.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.30.77