術中気管支鏡マーキングが有用であった胸腔鏡下右肺S6区域切除術の1例

背景.近年,高解像度CTの普及で小型肺病変の発見が増加し,様々なマーキング法が試みられている.今回我々は術中気管支鏡マーキングが有用であった1例を経験したため報告する.症例.68歳男性.直腸癌,肝転移の術後経過観察中,CTで右肺S6に単発5 mmの小結節を認め,転移性肺腫瘍の疑いにて当科紹介,手術の方針となった.CT上,腫瘍は右S6c縦隔側に認められた.腫瘍の局在から部分切除は困難であり,右S6区域切除を計画したが,腫瘍が比較的区域間に近いことが問題視された.そこで,腫瘍近傍を走行するB6cに術中に気管支鏡を末梢まで挿入し,胸膜面から確認された気管支鏡先端の光をガイドに,区域間切離ラインを決定...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in気管支学 Vol. 42; no. 3; pp. 252 - 255
Main Authors 近藤, 泰人, 松浦, 陽介, 一瀬, 淳二, 中尾, 将之, 奥村, 栄, 文, 敏景
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.05.2020
日本呼吸器内視鏡学会
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:背景.近年,高解像度CTの普及で小型肺病変の発見が増加し,様々なマーキング法が試みられている.今回我々は術中気管支鏡マーキングが有用であった1例を経験したため報告する.症例.68歳男性.直腸癌,肝転移の術後経過観察中,CTで右肺S6に単発5 mmの小結節を認め,転移性肺腫瘍の疑いにて当科紹介,手術の方針となった.CT上,腫瘍は右S6c縦隔側に認められた.腫瘍の局在から部分切除は困難であり,右S6区域切除を計画したが,腫瘍が比較的区域間に近いことが問題視された.そこで,腫瘍近傍を走行するB6cに術中に気管支鏡を末梢まで挿入し,胸膜面から確認された気管支鏡先端の光をガイドに,区域間切離ラインを決定し,右S6区域切除術を施行した.区域間からの切除マージンは16 mmだった.結論.症例を選択すれば,本法は従来法と同等な非侵襲的気管支鏡マーキングとして有用であると考えられた.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.42.3_252