経気管支肺生検後の血栓による中枢気道閉塞を気管支ブロッカーにより予防した1例
背景.気道出血は気管支鏡検査の主な合併症のひとつである.重篤な場合には厳重な気道確保を要する.症例.52歳女性に対し,両側肺野のすりガラス影の精査目的に経気管支肺生検を行ったところ,検査後に重度出血をきたし,止血困難であったため,気管挿管のうえ人工呼吸器管理を開始した.一旦は出血を制御し,呼吸状態の安定を得たが,気管支鏡検査の約12時間後に血栓による中枢気道閉塞をきたした.気管支鏡下で血栓を吸引除去したものの,さらなる血栓による中枢気道閉塞を予防するために気管支ブロッカーを留置した.2日後に止血を確認のうえ,気管支ブロッカーを抜去し,8日後に抜管に至った.経過中,気道閉塞の再発はなかった.すり...
Saved in:
Published in | 気管支学 Vol. 43; no. 2; pp. 139 - 144 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
25.03.2021
日本呼吸器内視鏡学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0287-2137 2186-0149 |
DOI | 10.18907/jjsre.43.2_139 |
Cover
Summary: | 背景.気道出血は気管支鏡検査の主な合併症のひとつである.重篤な場合には厳重な気道確保を要する.症例.52歳女性に対し,両側肺野のすりガラス影の精査目的に経気管支肺生検を行ったところ,検査後に重度出血をきたし,止血困難であったため,気管挿管のうえ人工呼吸器管理を開始した.一旦は出血を制御し,呼吸状態の安定を得たが,気管支鏡検査の約12時間後に血栓による中枢気道閉塞をきたした.気管支鏡下で血栓を吸引除去したものの,さらなる血栓による中枢気道閉塞を予防するために気管支ブロッカーを留置した.2日後に止血を確認のうえ,気管支ブロッカーを抜去し,8日後に抜管に至った.経過中,気道閉塞の再発はなかった.すりガラス影の原因はニューモシスチス肺炎と診断し,スルファメトキサゾール/トリメトプリム合剤とプレドニゾロンの投与により改善し,自宅退院した.結語.気管支鏡検査により重度の出血をきたした場合,血栓による中枢気道閉塞が原因の換気障害をきたす可能性があり,気管支ブロッカーがその再発予防に有用であった症例を経験した. |
---|---|
ISSN: | 0287-2137 2186-0149 |
DOI: | 10.18907/jjsre.43.2_139 |