カテコラミン分泌型グロームス腫瘍の周術期管理の1症例

頭蓋内にあるカテコラミン分泌型グロームス腫瘍摘出術の周術期管理を経験した.症例は31歳の女性.高血圧と頭痛を主訴とし,右頚静脈孔を中心とした直径50mmのカテコラミン産生グロームス腫瘍と診断された.術前にαブロッカーの経口投与と腫瘍血管塞栓術を施行後,全静脈麻酔下に頭蓋底腫瘍摘出術が行われた.腫瘍操作時の異常高血圧にはニカルジピンで,腫瘍摘出後の低血圧にはノルアドレナリンの持続投与で対処した.手術終了後,右舌咽神経麻痺を疑ったため,覚醒良好であったが挿管したままICUに移動して,術後3日目に抜管した.同様のカテコラミン産生腫瘍である褐色細胞腫に準じた術前処置だけでなく,頭蓋底腫瘍開頭術としての...

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 34; no. 4; pp. 491 - 495
Main Authors 春山, 直子, 前, 知子, 寺田, 尚弘, 嵐, 朝子, 安部, 彩子, 山崎, 隆史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 2014
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Summary:頭蓋内にあるカテコラミン分泌型グロームス腫瘍摘出術の周術期管理を経験した.症例は31歳の女性.高血圧と頭痛を主訴とし,右頚静脈孔を中心とした直径50mmのカテコラミン産生グロームス腫瘍と診断された.術前にαブロッカーの経口投与と腫瘍血管塞栓術を施行後,全静脈麻酔下に頭蓋底腫瘍摘出術が行われた.腫瘍操作時の異常高血圧にはニカルジピンで,腫瘍摘出後の低血圧にはノルアドレナリンの持続投与で対処した.手術終了後,右舌咽神経麻痺を疑ったため,覚醒良好であったが挿管したままICUに移動して,術後3日目に抜管した.同様のカテコラミン産生腫瘍である褐色細胞腫に準じた術前処置だけでなく,頭蓋底腫瘍開頭術としての特徴を踏まえて管理する必要があった.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.34.491