術前診断が困難であった膵過誤腫の1例

症例は65歳の女性.近医にて肝嚢胞の経過観察中に膵頭部に造影効果を伴う充実性腫瘍を指摘され当院へ紹介された.血液検査で各種ホルモン値の上昇は認めず,腹部造影CT検査で膵頭部に15mmの境界明瞭な類円形の腫瘤を認めた.動脈相で不均一に低から等吸収,門脈相から遅延相にかけて均一な強い造影効果を示した.EUS-FNAで病理組織学的診断はつかなかった.画像診断にて非機能性膵神経内分泌腫瘍を疑い幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を行った.膵頭部に境界明瞭な結節性病変を認めた.病理組織所見で線維化を背景に膵管,腺房組織増生と小膵管弾性板,末梢神経細胞,ランゲルハンス島の消失を認め膵過誤腫と診断した.膵過誤腫は報...

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Published in膵臓 Vol. 35; no. 5; pp. 387 - 393
Main Authors 土橋, 篤仁, 有泉, 泰, 小林, 慎二郎, 片山, 真史, 小泉, 哲, 大坪, 毅人, 土屋, 淳一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本膵臓学会 30.10.2020
日本膵臓学会
Subjects
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ISSN0913-0071
1881-2805
DOI10.2958/suizo.35.387

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Summary:症例は65歳の女性.近医にて肝嚢胞の経過観察中に膵頭部に造影効果を伴う充実性腫瘍を指摘され当院へ紹介された.血液検査で各種ホルモン値の上昇は認めず,腹部造影CT検査で膵頭部に15mmの境界明瞭な類円形の腫瘤を認めた.動脈相で不均一に低から等吸収,門脈相から遅延相にかけて均一な強い造影効果を示した.EUS-FNAで病理組織学的診断はつかなかった.画像診断にて非機能性膵神経内分泌腫瘍を疑い幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を行った.膵頭部に境界明瞭な結節性病変を認めた.病理組織所見で線維化を背景に膵管,腺房組織増生と小膵管弾性板,末梢神経細胞,ランゲルハンス島の消失を認め膵過誤腫と診断した.膵過誤腫は報告例が41例と稀な疾患である事に加え,術前組織診断を得る事は非常に困難である.術前に非機能性膵神経内分泌腫瘍との鑑別に難渋した膵過誤腫の1例を経験したので報告する.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.35.387