潰瘍性大腸炎の5-aminosalicylic acid (5-ASA) 療法

潰瘍性大腸炎(ulcerativec olitis:UC)はおもに大腸粘膜を侵し, びらんや潰瘍を形成する原因不明の非特異性炎症性疾患である. クローン病(Crohn’s Disease:CD)とともに, 非特異性炎症性腸疾患Infammatory Bowel Disease(IDB)として包括総称され, 厚生省の特定疾患治療研究対象疾患の指定をうけている. どちらも20歳前後の若年者に好発し, 病態は再燃と緩解を繰り返し, 生涯にわたり医療管理を必要とする. 今日なお治療に難渋する難病の一つである. 潰瘍性大腸炎とクローン病は, それぞれの患者の経過や予後には大きな差があり, その違いは遺伝...

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Published inJournal of Nippon Medical School Vol. 67; no. 2; p. 158
Main Author 沖浜, 裕司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2000
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ISSN1345-4676
1347-3409
DOI10.1272/jnms.67.158

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Summary:潰瘍性大腸炎(ulcerativec olitis:UC)はおもに大腸粘膜を侵し, びらんや潰瘍を形成する原因不明の非特異性炎症性疾患である. クローン病(Crohn’s Disease:CD)とともに, 非特異性炎症性腸疾患Infammatory Bowel Disease(IDB)として包括総称され, 厚生省の特定疾患治療研究対象疾患の指定をうけている. どちらも20歳前後の若年者に好発し, 病態は再燃と緩解を繰り返し, 生涯にわたり医療管理を必要とする. 今日なお治療に難渋する難病の一つである. 潰瘍性大腸炎とクローン病は, それぞれの患者の経過や予後には大きな差があり, その違いは遺伝子に起因するという考えもあり, 遺伝的素因と環境因子の両者が複雑に関与した多要因疾患という概念で捉えるようにもなってきた. しかし, その本質はいまだ不明である. 最近は, 我が国においてその数が増加していることもあり, 口常の外来で若年の新患を診察する機会も多くなってきている. 従来, 薬物療法の中心はステロイド剤とサラゾピリン(salicylazosulphapyridine:SASP)であったが, ステロイド剤には使用量や使用期間に制限があり, サラゾピリンも服薬コンプライアンスに問題を残している. サラゾピリンは5-aminosalicylic acidとsulphapyridineがアゾ結合した化学構造をもっている. 経投与されたサラゾピリンは大腸に達すると腸内細菌により5-aminosalicylic acidとsul-phapyridineに分解され, 5-aminosalicylic acidのみが活性部位として大腸粘膜に直接作用することが1977年にAzadKhanらによって明らかにされている1.
ISSN:1345-4676
1347-3409
DOI:10.1272/jnms.67.158