甲状腺癌の喉頭浸潤による気道狭窄症例の麻酔経験
甲状腺癌の喉頭浸潤により,気管断面積がCT上で40%以下に減少した50歳の女性の麻酔管理を経験した.喉頭全摘術および頚部郭清術が予定されたが,声門部に腫瘍状組織が浸潤しており,挿管困難と思われた.意識下に経鼻的ファイバースコープによる挿管を試みたが,声門の通過は不可能であったため,局所麻酔下に大腿動静脈よりカニュレーションを行い,経皮的心肺補助による体外循環下に気管切開を行った.気管切開後はモンタンドンチューブを挿入し,全静脈麻酔による全身麻酔下に予定術式を完了した.手術翌日に人工呼吸から離脱し,その後は順調に経過した.迅速な体外循環の開始により,重度の気道狭窄症例を安全に管理し得た....
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Published in | 日本臨床麻酔学会誌 Vol. 32; no. 3; pp. 390 - 394 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床麻酔学会
2012
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Summary: | 甲状腺癌の喉頭浸潤により,気管断面積がCT上で40%以下に減少した50歳の女性の麻酔管理を経験した.喉頭全摘術および頚部郭清術が予定されたが,声門部に腫瘍状組織が浸潤しており,挿管困難と思われた.意識下に経鼻的ファイバースコープによる挿管を試みたが,声門の通過は不可能であったため,局所麻酔下に大腿動静脈よりカニュレーションを行い,経皮的心肺補助による体外循環下に気管切開を行った.気管切開後はモンタンドンチューブを挿入し,全静脈麻酔による全身麻酔下に予定術式を完了した.手術翌日に人工呼吸から離脱し,その後は順調に経過した.迅速な体外循環の開始により,重度の気道狭窄症例を安全に管理し得た. |
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ISSN: | 0285-4945 1349-9149 |
DOI: | 10.2199/jjsca.32.390 |