経口的内視鏡下喉頭囊胞開窓術を施行した新生児喉頭囊胞の1例

症例は日齢24,女児.在胎37週6日で出生し,出生直後より吸気性喘鳴を聴取し呼吸障害が出現した.喉頭鏡による観察で喉頭蓋右側に腫瘤性病変を認め,気管内挿管で気道確保された.画像検査で喉頭に囊胞性病変を認め,喉頭蓋を左側に圧排していた.日齢24で精査・加療目的に当院転院となり,日齢28で経口的内視鏡下喉頭囊胞開窓術を施行した.囊胞の基部は右披裂部~披裂喉頭蓋ヒダに存在し,囊胞の開窓で透明な粘液が排出された.術後4日目に抜管し,術後20日目に退院となった.切除した囊胞壁は重層扁平上皮で,ductal cystと考えられた.術後3か月の現在,再発や呼吸障害はない.新生児の喉頭囊胞は出生時より重篤な呼...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 53; no. 4; pp. 911 - 915
Main Authors 里見, 美和, 安井, 良僚, 河野, 美幸, 桑原, 強, 城之前, 翼, 西田, 翔一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.06.2017
日本小児外科学会
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.53.4_911

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Summary:症例は日齢24,女児.在胎37週6日で出生し,出生直後より吸気性喘鳴を聴取し呼吸障害が出現した.喉頭鏡による観察で喉頭蓋右側に腫瘤性病変を認め,気管内挿管で気道確保された.画像検査で喉頭に囊胞性病変を認め,喉頭蓋を左側に圧排していた.日齢24で精査・加療目的に当院転院となり,日齢28で経口的内視鏡下喉頭囊胞開窓術を施行した.囊胞の基部は右披裂部~披裂喉頭蓋ヒダに存在し,囊胞の開窓で透明な粘液が排出された.術後4日目に抜管し,術後20日目に退院となった.切除した囊胞壁は重層扁平上皮で,ductal cystと考えられた.術後3か月の現在,再発や呼吸障害はない.新生児の喉頭囊胞は出生時より重篤な呼吸障害を発症することがあり,迅速な気道確保や治療が必要となる.本疾患に対する治療法として経口的内視鏡下喉頭囊胞開窓術は,低侵襲で安全であり,充分な開窓により根治性も確保できると考えられる.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.53.4_911