術前診断が困難であった単房性漿液性嚢胞腺腫の1例

症例は38歳女性.人間ドックで施行された腹部超音波検査にて膵体尾部移行部に15mmの嚢胞性病変を指摘され精査目的にて当科紹介となった.当院での画像検査でも膵体尾部移行部に15mm,単房性の嚢胞性病変がみられ,粘液性嚢胞腫瘍を疑った.患者希望もあり,腹腔鏡下膵体尾部切除術を施行した.病理組織学検査では嚢胞内腔面には淡明な細胞質をもつ小型の立方上皮が1層に配列されており,Periodic Acid Schiff(PAS)染色陽性,Diastase-PAS染色で消化され,グリコーゲンに富むことが確認でき,漿液性嚢胞腺腫と診断した.単房性の漿液性嚢胞腫瘍は稀であり,報告も少ない.しかしながら画像的な鑑...

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Published in膵臓 Vol. 31; no. 4; pp. 654 - 661
Main Authors 新恵, 幹也, 畔元, 信明, 宮田, 英樹, 植木, 秀太朗, 金藤, 美帆, 相引, 利彦, 奥平, 知成, 川上, 貴正, 富田, 英臣, 宮本, 勇治, 山子, 泰加, 須賀, 義文, 森, 健一郎, 平岡, 淳, 壺内, 栄治, 二宮, 朋之, 道堯, 浩二郎, 藤井, 正彦, 河﨑, 秀樹, 杉田, 敬郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 25.08.2016
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Summary:症例は38歳女性.人間ドックで施行された腹部超音波検査にて膵体尾部移行部に15mmの嚢胞性病変を指摘され精査目的にて当科紹介となった.当院での画像検査でも膵体尾部移行部に15mm,単房性の嚢胞性病変がみられ,粘液性嚢胞腫瘍を疑った.患者希望もあり,腹腔鏡下膵体尾部切除術を施行した.病理組織学検査では嚢胞内腔面には淡明な細胞質をもつ小型の立方上皮が1層に配列されており,Periodic Acid Schiff(PAS)染色陽性,Diastase-PAS染色で消化され,グリコーゲンに富むことが確認でき,漿液性嚢胞腺腫と診断した.単房性の漿液性嚢胞腫瘍は稀であり,報告も少ない.しかしながら画像的な鑑別方法がいくつか示されている.単房性嚢胞性病変を見た際の鑑別には必ず挙げ,画像を十分に評価する必要性があると考えられた.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.31.654