生体肝移植後に発症した重症自己免疫性溶血性貧血
ABO一致生体肝移植後に発症した重症自己免疫性溶血性貧血(AIHA)を経験したので報告する.症例は56歳男性,2007年7月に,息子をドナーとして生体肝移植を受け,術後経過は良好であったが,移植後8週後よりビリルビンの上昇,貧血が進行.Direct Antiglobulin Test (DAT)陽性であり,自己免疫性溶血性貧血(AIHA)の診断にて,プレドニゾロン,アザチオプリン,リツキシマブの投与に加え,血漿交換を実施したが,治療抵抗性であった.サイクロフォスファミドパルス療法とリツキシマブの併用にて,最終的に寛解が得られた.現在,DATも陰性化し無治療にて経過観察中である.本症例のAIHA...
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Published in | 日本臨床免疫学会会誌 Vol. 33; no. 1; pp. 20 - 23 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床免疫学会
2010
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ISSN | 0911-4300 1349-7413 |
DOI | 10.2177/jsci.33.20 |
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Summary: | ABO一致生体肝移植後に発症した重症自己免疫性溶血性貧血(AIHA)を経験したので報告する.症例は56歳男性,2007年7月に,息子をドナーとして生体肝移植を受け,術後経過は良好であったが,移植後8週後よりビリルビンの上昇,貧血が進行.Direct Antiglobulin Test (DAT)陽性であり,自己免疫性溶血性貧血(AIHA)の診断にて,プレドニゾロン,アザチオプリン,リツキシマブの投与に加え,血漿交換を実施したが,治療抵抗性であった.サイクロフォスファミドパルス療法とリツキシマブの併用にて,最終的に寛解が得られた.現在,DATも陰性化し無治療にて経過観察中である.本症例のAIHAの発症機序は明らかではないが,肝移植を契機に発症しており,極期の重症度に比較してその後の経過が良好であることから,その発症にドナー由来リンパ球が関与している可能性が否定できないと考えられた. |
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ISSN: | 0911-4300 1349-7413 |
DOI: | 10.2177/jsci.33.20 |