欧米の臨床試験でフィブリノゲン製剤が有効性に乏しい理由に関する考察
欧米の無作為比較試験において人工心肺離脱期のフィブリノゲン値は平均170〜180mg/dLとトリガー値としてかなり高い.また,200〜250mg/dLを目標として濃縮フィブリノゲン3〜6gを投与しても止血と輸血節減の効果に乏しかった.その理由には,新鮮凍結血漿で対応可能な症例が多く,フィブリノゲン製剤の有効性が十分に実証されなかったことがあげられる.濃縮フィブリノゲンが有効な症例のトリガー値は130mg/dL未満とより低く,有効投与量は2〜3g程度であろう.今後は,新たな観察調査や臨床試験において濃縮フィブリノゲンのトリガー値と有効投与量の再設定が必要と考えられる....
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Published in | 日本臨床麻酔学会誌 Vol. 38; no. 2; pp. 153 - 160 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床麻酔学会
15.03.2018
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Subjects | |
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ISSN | 0285-4945 1349-9149 |
DOI | 10.2199/jjsca.38.153 |
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Summary: | 欧米の無作為比較試験において人工心肺離脱期のフィブリノゲン値は平均170〜180mg/dLとトリガー値としてかなり高い.また,200〜250mg/dLを目標として濃縮フィブリノゲン3〜6gを投与しても止血と輸血節減の効果に乏しかった.その理由には,新鮮凍結血漿で対応可能な症例が多く,フィブリノゲン製剤の有効性が十分に実証されなかったことがあげられる.濃縮フィブリノゲンが有効な症例のトリガー値は130mg/dL未満とより低く,有効投与量は2〜3g程度であろう.今後は,新たな観察調査や臨床試験において濃縮フィブリノゲンのトリガー値と有効投与量の再設定が必要と考えられる. |
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ISSN: | 0285-4945 1349-9149 |
DOI: | 10.2199/jjsca.38.153 |