軽症急性膵炎の治療経過中に膵性腹水を来し,内視鏡的膵管ステント留置が有用であった一例

症例は64歳男性.軽症のアルコール性急性膵炎で入院,経過は順調であったが,食事再開後に腹痛が再増悪し,血中膵酵素上昇と腹水貯留を認めた.内視鏡的逆行性膵管造影において主膵管から膵外への造影剤流出像を認めたため,主膵管破綻による膵液瘻,膵性腹水と診断した.内視鏡的膵管ステント留置により病状は速やかに改善した.また改善する過程で膵仮性嚢胞を形成し,これが縮小するという特徴的な経過を辿った.軽症急性膵炎の短期合併症として膵液瘻,膵性腹水を来す症例は極めて稀であるため報告する....

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Published in膵臓 Vol. 30; no. 4; pp. 592 - 599
Main Authors 國司, 洋佑, 川口, 義明, 岩田, 悠里, 神野, 正智, 小野, 嘉文, 松林, 真央, 渋谷, 仁, 池本, 正平, 中尾, 聡, 真丸, 祐一, 藤田, 裕次, 玉井, 拙夫, 加藤, 佳央
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 25.08.2015
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Summary:症例は64歳男性.軽症のアルコール性急性膵炎で入院,経過は順調であったが,食事再開後に腹痛が再増悪し,血中膵酵素上昇と腹水貯留を認めた.内視鏡的逆行性膵管造影において主膵管から膵外への造影剤流出像を認めたため,主膵管破綻による膵液瘻,膵性腹水と診断した.内視鏡的膵管ステント留置により病状は速やかに改善した.また改善する過程で膵仮性嚢胞を形成し,これが縮小するという特徴的な経過を辿った.軽症急性膵炎の短期合併症として膵液瘻,膵性腹水を来す症例は極めて稀であるため報告する.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.30.592