膵頭十二指腸切除後のロストチューブに起因する晩期合併症の2例

症例1は50代男性,遠位胆管癌に対し,膵頭十二指腸切除術が施行された.術後19か月に発熱,肝機能異常があり,受診した.DIC-CTでは左肝管に造影欠損像がみられ,結石が疑われた.禁食,抗菌薬投与で軽快し,他院にて小腸内視鏡を使用し採石,更に迷入したロストチューブを抜去した.症例2は50代女性,IPMAに対して,膵頭十二指腸切除術が施行された.術後6か月に心窩部痛で受診した.腹部造影CTでは膵管内にロストチューブ,膵腫大を認め,更に周囲に炎症を認めた.禁食,蛋白分解酵素阻害薬投与により軽快したが,同様の症状を繰り返すことから,ロストチューブによる流出障害と考えた.他院にて小腸内視鏡を使用し,ロス...

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Published in膵臓 Vol. 35; no. 6; pp. 601 - 606
Main Authors 石井, 政嗣, 奥脇, 興介, 山岸, 徳子, 星川, 竜彦, 中村, 威, 次田, 正, 仲丸, 誠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本膵臓学会 28.12.2020
日本膵臓学会
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Summary:症例1は50代男性,遠位胆管癌に対し,膵頭十二指腸切除術が施行された.術後19か月に発熱,肝機能異常があり,受診した.DIC-CTでは左肝管に造影欠損像がみられ,結石が疑われた.禁食,抗菌薬投与で軽快し,他院にて小腸内視鏡を使用し採石,更に迷入したロストチューブを抜去した.症例2は50代女性,IPMAに対して,膵頭十二指腸切除術が施行された.術後6か月に心窩部痛で受診した.腹部造影CTでは膵管内にロストチューブ,膵腫大を認め,更に周囲に炎症を認めた.禁食,蛋白分解酵素阻害薬投与により軽快したが,同様の症状を繰り返すことから,ロストチューブによる流出障害と考えた.他院にて小腸内視鏡を使用し,ロストチューブの抜去を行った.我々の経験ではロストチューブは時に晩期合併症を引き起こすことがある.膵頭十二指腸切除術ではロストチューブの使用が大半を占めるが,この様な合併症への配慮も必要と考えられる.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.35.601