1液性セラミックプライマーの保管が接着強さに及ぼす影響

目的 : 市販1液性セラミックプライマーの保管安定性を明らかにするため, γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン (γ-MPTS) と90%エタノール水溶液からなる1液性試作プライマーを調製し, プライマーの保管がγ-MPTSの加水分解・縮合挙動に及ぼす影響, さらに縮合反応が接着強さに及ぼす影響について検討を行った. 方法 : 購入直後, 20カ月室温保管したラミナボンドポーセレンプライマー, 20℃恒温室に保管した試作プライマーにてセラミックを処理し, セメントを接着した試験体について, せん断接着強さの測定を行った. さらに, プライマーの保管期間がγ-MPTSの加水分解・縮合挙動...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本補綴歯科学会雑誌 Vol. 52; no. 2; pp. 107 - 116
Main Author 後藤, 治彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本補綴歯科学会 2008
日本補綴歯科学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0389-5386
1883-177X
DOI10.2186/jjps.52.107

Cover

More Information
Summary:目的 : 市販1液性セラミックプライマーの保管安定性を明らかにするため, γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン (γ-MPTS) と90%エタノール水溶液からなる1液性試作プライマーを調製し, プライマーの保管がγ-MPTSの加水分解・縮合挙動に及ぼす影響, さらに縮合反応が接着強さに及ぼす影響について検討を行った. 方法 : 購入直後, 20カ月室温保管したラミナボンドポーセレンプライマー, 20℃恒温室に保管した試作プライマーにてセラミックを処理し, セメントを接着した試験体について, せん断接着強さの測定を行った. さらに, プライマーの保管期間がγ-MPTSの加水分解・縮合挙動に及ぼす影響をNMR法により解析した. 結果 : ラミナボンドを20カ月保管すると, 購入直後約26MPaを示した接着強さが約11MPaに低下した. 試作プライマーではγ-MPTS分子種の2量体が生成された時, 最大接着強さ約30MPaを示し, その後約16MPaに低下した. 保管期間が長くなるにつれ, γ-MPTS分子種の分子量が増大し, γ-MPTSの縮合反応により生成されたγ-MPTSの分子種が接着強さに影響を与えた. 結論 : ラミナボンドは20カ月保管すると, γ-MPTSのメトキシ基が希釈剤として用いられているエタノールとエステル交換反応を起こし, セラミック表面のシラン処理効果が低下し, せん断接着強さの低下を引き起こすことが示唆された.
ISSN:0389-5386
1883-177X
DOI:10.2186/jjps.52.107