膵粘液性嚢胞腫瘍11切除例の臨床病理学的検討―妊娠期発症2例を含めて

膵粘液性嚢胞腫瘍は悪性化能を持つ稀な膵嚢胞性腫瘍で,疾患概念が卵巣様間質により統一されている.しかし,その実態はまだ不明な部分がある.今回,当科で経験した,病理組織学的に卵巣様間質を伴う膵粘液性嚢胞腫瘍11切除症例を対象とし,臨床病理組織学的因子を検討した.性別は全て女性で,平均年齢は52.5歳であった.妊娠期に診断された症例は2例で,1例は増大傾向を示し,1例は破裂による膵性腹水を呈した.腫瘍局在は体尾部10例,頭部1例であった.平均腫瘍径は72.1mmであった.病理組織診断は浸潤癌1例,腺腫10例(妊娠期症例2例を含む)であった.予後は全例で無再発生存し良好であった.今後悪性予測因子の検討...

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Published in膵臓 Vol. 29; no. 4; pp. 721 - 728
Main Authors 浦部, 和秀, 村上, 義昭, 上村, 健一郎, 首藤, 毅, 橋本, 泰司, 近藤, 成, 中川, 直哉, 佐々木, 勇人, 大毛, 宏喜, 有廣, 光司, 末田, 泰二郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 2014
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Summary:膵粘液性嚢胞腫瘍は悪性化能を持つ稀な膵嚢胞性腫瘍で,疾患概念が卵巣様間質により統一されている.しかし,その実態はまだ不明な部分がある.今回,当科で経験した,病理組織学的に卵巣様間質を伴う膵粘液性嚢胞腫瘍11切除症例を対象とし,臨床病理組織学的因子を検討した.性別は全て女性で,平均年齢は52.5歳であった.妊娠期に診断された症例は2例で,1例は増大傾向を示し,1例は破裂による膵性腹水を呈した.腫瘍局在は体尾部10例,頭部1例であった.平均腫瘍径は72.1mmであった.病理組織診断は浸潤癌1例,腺腫10例(妊娠期症例2例を含む)であった.予後は全例で無再発生存し良好であった.今後悪性予測因子の検討を行うことで,症例によっては経過観察を選択できる可能性がある.また,妊娠期に急速増大する腹腔内嚢胞性腫瘍は膵粘液性嚢胞腫瘍を念頭に置き,破裂の危険性を認識する必要がある.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.29.721