電気生理学的誘発が困難なリエントリー性持続性単形性心室頻拍例におけるピルジカイニドの有用性

電気生理学的検査(EPS)による誘発が困難な心室頻拍(VT)に対して,Naチャネル遮断薬の静脈内投与がVTの誘発性を高めることが知られているが,報告例は少ない.われわれは,持続性単形性VTの既往があるにもかかわらずEPS時に無投薬,もしくはイソプロテレノール(ISP)を投与したにもかかわらずVTが誘発されなかった4例において,リエントリー性VTを疑いISP持続静脈投与下でピルジカイニド20mgを静注した後にEPSを行ったところ,再現性をもってVTを誘発することに成功した.4例ともVT発生の機序はリエントリーで,うち2例はベラパミル感受性左室起源特発性VTである.全例でピルジカイニド投与後のEP...

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Published in心電図 Vol. 30; no. 2; pp. 143 - 149
Main Authors 高野, 誠, 水澤, 有香, 辰本, 明子, 深水, 誠二, 北條, 林太郎, 仲井, 盛, 弓場, 隆生, 小宮山, 浩大, 田辺, 康宏, 手島, 保, 西崎, 光弘, 櫻田, 春水, 平岡, 昌和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 2010
日本心電学会
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Summary:電気生理学的検査(EPS)による誘発が困難な心室頻拍(VT)に対して,Naチャネル遮断薬の静脈内投与がVTの誘発性を高めることが知られているが,報告例は少ない.われわれは,持続性単形性VTの既往があるにもかかわらずEPS時に無投薬,もしくはイソプロテレノール(ISP)を投与したにもかかわらずVTが誘発されなかった4例において,リエントリー性VTを疑いISP持続静脈投与下でピルジカイニド20mgを静注した後にEPSを行ったところ,再現性をもってVTを誘発することに成功した.4例ともVT発生の機序はリエントリーで,うち2例はベラパミル感受性左室起源特発性VTである.全例でピルジカイニド投与後のEPSで持続性VTが誘発され,アブレーションの至適部位の決定に有用であった.EPSで誘発困難なリエントリー性持続性単形性VTにおいては,ISPに加えて少量のNaチャネル遮断薬を投与するとVTの誘発性を高め,アブレーション至適部位の決定に役立つと考えられた.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.30.143