慢性膵炎患者の就労可能性に関連する因子の検討

本邦における慢性膵炎患者の就労可能性とそれに関連する因子について検討した.65歳未満で就労可能性が明らかな慢性膵炎755例のうち66例(8.7%)が就労不能であった.疼痛,糖尿病,消化不良がある場合の就労不能例の割合はそれぞれ9.8%,13.5%,21.7%であり,症状がない場合に比べて有意に高率であった.就労不能例の割合を成因別にみると,特発性では2.5%であったのに対し,アルコール性では10.3%と有意に高率であった.また,就労可能例に比べ就労不能例では栄養状態不良例が有意に高率であった.慢性膵炎患者の社会復帰に向けては,症状のコントロールのみならず,アルコール関連問題や栄養状態にも配慮す...

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Published in膵臓 Vol. 35; no. 2; pp. 187 - 192
Main Authors 菊田, 和宏, 濱田, 晋, 粂, 潔, 正宗, 淳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本膵臓学会 30.04.2020
日本膵臓学会
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Summary:本邦における慢性膵炎患者の就労可能性とそれに関連する因子について検討した.65歳未満で就労可能性が明らかな慢性膵炎755例のうち66例(8.7%)が就労不能であった.疼痛,糖尿病,消化不良がある場合の就労不能例の割合はそれぞれ9.8%,13.5%,21.7%であり,症状がない場合に比べて有意に高率であった.就労不能例の割合を成因別にみると,特発性では2.5%であったのに対し,アルコール性では10.3%と有意に高率であった.また,就労可能例に比べ就労不能例では栄養状態不良例が有意に高率であった.慢性膵炎患者の社会復帰に向けては,症状のコントロールのみならず,アルコール関連問題や栄養状態にも配慮する必要性が示唆された.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.35.187