エピドラスコピー時にヒアルロニダーゼを使用した6症例

[要旨] われわれは6例の慢性難治性腰下肢痛に対してエピドラスコピーによる機械的癒着剥離後にウシ由来ヒアルロニダーゼ(エイチラーゼ(R))を硬膜外腔に投与した. 6例中4例でVAS値が著明に低下し, その効果は3ヵ月以上持続した. この薬剤による有害事象はなかった. ヒアルロニダーゼはエピドラスコピーの効果を増強させることが期待される. 「はじめに」ヒアルロニダーゼは間質組織の器質であるヒアルロン酸を分解することにより薬液浸透の障壁を減らして, 薬液の吸収や拡散を促進するアジュバントである1). この薬物の拡散を促進するという効果を利用して, 眼科, 歯科, 形成外科領域で局所麻酔薬に混ぜて使...

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 34; no. 2; pp. 302 - 306
Main Authors 仲宗根, しのぶ, 比嘉, 康敏, 加治佐, 淳一, 平良, 豊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 2014
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ISSN0285-4945
1349-9149
DOI10.2199/jjsca.34.302

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Summary:[要旨] われわれは6例の慢性難治性腰下肢痛に対してエピドラスコピーによる機械的癒着剥離後にウシ由来ヒアルロニダーゼ(エイチラーゼ(R))を硬膜外腔に投与した. 6例中4例でVAS値が著明に低下し, その効果は3ヵ月以上持続した. この薬剤による有害事象はなかった. ヒアルロニダーゼはエピドラスコピーの効果を増強させることが期待される. 「はじめに」ヒアルロニダーゼは間質組織の器質であるヒアルロン酸を分解することにより薬液浸透の障壁を減らして, 薬液の吸収や拡散を促進するアジュバントである1). この薬物の拡散を促進するという効果を利用して, 眼科, 歯科, 形成外科領域で局所麻酔薬に混ぜて使用されている. そのほかに薬液の吸収を早める効果を利用して, 造影剤と混合して皮下注射する経皮的尿路造影に使用される. さらにこの薬物は浮腫を軽減させる効果もあることから, 移植臓器の浮腫2), 喉頭浮腫3), 嵌頓包茎4), 腸重積5)等の治療にも応用されている.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.34.302