門脈内腫瘍栓を伴ったIntraductal tubulopapillary neoplasm浸潤癌の1例

症例は71歳,男性.S状結腸癌の術前検査で膵体部腫瘍を指摘された.US上膵体部に2cm大の低エコー結節があり,これと連続する尾側膵全体が低エコーを示した.脾静脈から門脈本幹にかけて腫瘍栓があり,側副血行の発達を認めた.CTでは膵体尾部全体を占める増強効果の乏しい腫瘍として,MRIではT1wで低信号,T2wで高信号,DWIでも高信号を呈した.PET-CTで腫瘍に一致しSUV max 8.5の異常集積を認めた.膵管洗浄細胞診でclass IIIbが得られ,尾側膵切除・門脈合併切除(腫瘍栓除去)を行った.膵管内発育の著明な腫瘍で粘液産生に乏しく,組織学的に核異型が強く好酸性の細胞が癒合腺管状,乳頭状...

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Published in膵臓 Vol. 29; no. 4; pp. 729 - 735
Main Authors 橋本, 雅司, 田村, 哲男, 渡邊, 五朗, 佐々木, 一成, 今村, 綱男, 松田, 正道, 竹内, 和男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 2014
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ISSN0913-0071
1881-2805
DOI10.2958/suizo.29.729

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Summary:症例は71歳,男性.S状結腸癌の術前検査で膵体部腫瘍を指摘された.US上膵体部に2cm大の低エコー結節があり,これと連続する尾側膵全体が低エコーを示した.脾静脈から門脈本幹にかけて腫瘍栓があり,側副血行の発達を認めた.CTでは膵体尾部全体を占める増強効果の乏しい腫瘍として,MRIではT1wで低信号,T2wで高信号,DWIでも高信号を呈した.PET-CTで腫瘍に一致しSUV max 8.5の異常集積を認めた.膵管洗浄細胞診でclass IIIbが得られ,尾側膵切除・門脈合併切除(腫瘍栓除去)を行った.膵管内発育の著明な腫瘍で粘液産生に乏しく,組織学的に核異型が強く好酸性の細胞が癒合腺管状,乳頭状に増生していた.免疫組織化学的にはCK7(+),CK20(focalに+),MUC1(+),MUC2(-),MUC5AC(-),MUC6(focalに+)でIntraductal tubulopapillary neoplasm浸潤癌と判定した.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.29.729