筋萎縮性側索硬化症患者に対する肺葉切除術の麻酔経験

筋萎縮性側索硬化症は,麻酔や手術侵襲により術後呼吸器機能が低下した場合には,人工呼吸器管理を余儀なくされる可能性がある.そのため,肺葉切除術のような呼吸機能を低下させる手術の麻酔管理はほとんど報告がない.今回われわれは,76歳女性の筋萎縮性側索硬化症患者の肺葉切除術に対して,プロポフォール,レミフェンタニルを用いた全静脈麻酔と胸部硬膜外麻酔を併用し安全に管理しえた.短時間作用型の麻酔薬や術後鎮痛の進歩,低侵襲手術の普及により筋萎縮性側索硬化症患者でも以前より安全に手術が行えるようになった.しかし将来的な人工呼吸までの期間を短縮する可能性はあるため,手術適応には慎重な評価が必要である....

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 35; no. 7; pp. 711 - 714
Main Authors 小林, 求, 大岩, 雅彦, 森松, 博史, 金澤, 伴幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 14.11.2015
Subjects
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ISSN0285-4945
1349-9149
DOI10.2199/jjsca.35.711

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Summary:筋萎縮性側索硬化症は,麻酔や手術侵襲により術後呼吸器機能が低下した場合には,人工呼吸器管理を余儀なくされる可能性がある.そのため,肺葉切除術のような呼吸機能を低下させる手術の麻酔管理はほとんど報告がない.今回われわれは,76歳女性の筋萎縮性側索硬化症患者の肺葉切除術に対して,プロポフォール,レミフェンタニルを用いた全静脈麻酔と胸部硬膜外麻酔を併用し安全に管理しえた.短時間作用型の麻酔薬や術後鎮痛の進歩,低侵襲手術の普及により筋萎縮性側索硬化症患者でも以前より安全に手術が行えるようになった.しかし将来的な人工呼吸までの期間を短縮する可能性はあるため,手術適応には慎重な評価が必要である.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.35.711