先天性門脈体循環シャントに対するシャント血管結紮術の治療成績

先天性門脈体循環シャント(congenital portosystemic shunts:以下CPSS)は,肝内外門脈の低形成の程度や門脈が体循環へ流入する形状に応じて治療方針を決定する必要がある.当科で2013年1月から2017年12月までにCPSS Type IIと診断し外科的治療を施行した4例を後方視的に検討した.3例は一期的シャント血管結紮が可能であったが,1例は初回手術時にシャント血管クランプで門脈圧が40 mmHgと著増したため半結紮のみ行い,二期的結紮術を施行した.術後早期合併症は認めなかったが,11歳時にシャント結紮した1例で術後7か月に肺高血圧を発症した.CPSS Type...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 56; no. 3; pp. 279 - 284
Main Authors 本多, 昌平, 河北, 一誠, 荒, 桃子, 武冨, 紹信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.06.2020
日本小児外科学会
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.56.3_279

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Summary:先天性門脈体循環シャント(congenital portosystemic shunts:以下CPSS)は,肝内外門脈の低形成の程度や門脈が体循環へ流入する形状に応じて治療方針を決定する必要がある.当科で2013年1月から2017年12月までにCPSS Type IIと診断し外科的治療を施行した4例を後方視的に検討した.3例は一期的シャント血管結紮が可能であったが,1例は初回手術時にシャント血管クランプで門脈圧が40 mmHgと著増したため半結紮のみ行い,二期的結紮術を施行した.術後早期合併症は認めなかったが,11歳時にシャント結紮した1例で術後7か月に肺高血圧を発症した.CPSS Type IIは,治療時期を逃さず介入できれば良好な予後が得られるが,時期を逸すると不可逆性の肺高血圧症をきたしうる.更に症例数を蓄積しCPSSに対する外科治療戦略の標準化し,肺高血圧症を減らすことが肝要と考えられた.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.56.3_279