胸水貯留を契機に局所麻酔下胸腔鏡で診断しえた小径腎細胞癌の1例

背景.胸水貯留を契機として腎細胞癌が診断されることは稀である.今回,局所麻酔下胸腔鏡により小径腎細胞癌の診断に至った症例を報告する.症例.61歳,男性.咳嗽,労作時呼吸困難を主訴に当科紹介され,胸部画像上,右胸水貯留と胸膜多発結節を指摘された.局所麻酔下胸腔鏡検査で壁側胸膜には大小不同,不整形の隆起性病変が散在し,悪性腫瘍の胸膜転移に矛盾しなかった.壁側胸膜の生検により腎細胞癌の胸膜転移の診断に至り,所属リンパ節転移はなく,その原発巣は最大径1.8 cmの小径腎細胞癌であった.現在,分子標的薬治療を施行している.結論.胸水貯留を契機に診断した小径腎細胞癌の1例を経験した.悪性胸水は進行期の悪性...

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Published in気管支学 Vol. 41; no. 6; pp. 602 - 607
Main Authors 山下, 良, 宮田, 祐大, 奈良, 佳治, 宮崎, 晋一, 寺町, 涼, 池田, 拓也, 久野, 泰雅
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.11.2019
日本呼吸器内視鏡学会
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.41.6_602

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Summary:背景.胸水貯留を契機として腎細胞癌が診断されることは稀である.今回,局所麻酔下胸腔鏡により小径腎細胞癌の診断に至った症例を報告する.症例.61歳,男性.咳嗽,労作時呼吸困難を主訴に当科紹介され,胸部画像上,右胸水貯留と胸膜多発結節を指摘された.局所麻酔下胸腔鏡検査で壁側胸膜には大小不同,不整形の隆起性病変が散在し,悪性腫瘍の胸膜転移に矛盾しなかった.壁側胸膜の生検により腎細胞癌の胸膜転移の診断に至り,所属リンパ節転移はなく,その原発巣は最大径1.8 cmの小径腎細胞癌であった.現在,分子標的薬治療を施行している.結論.胸水貯留を契機に診断した小径腎細胞癌の1例を経験した.悪性胸水は進行期の悪性腫瘍に合併するため原発巣が明らかであることが多いが,本例は原発巣が小さく,その診断に局所麻酔下胸腔鏡が有用であった.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.41.6_602